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トラックの「改善基準告示」見直し/厚生労働省
お知らせ詳細
トラックの「改善基準告示」見直し/厚生労働省
2022年09月28日
行政・他団体
厚生労働省は、2022年9月8日(木)、第10回労働政策審議会 労働条件分科会 自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会を開催し、トラックの「改善基準告示」見直しの方向性を提示しました。
◆第10回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会資料
長時間・過重労働の実態にある自動車運転者の健康確保等の観点から見直しを行うもので、ポイントは以下の通りです。
◆1年の拘束時間
現行の「3,516時間」を原則「3,300時間(-216時間)」へ
◆1か月の拘束時間
現行の原則「293時間」、最大「320時間」を原則「284時間(-9時間)」、最大「310時間(-10時間)」
※1年の拘束時間が3,400時間を超えない範囲で年6回までとする。
※284時間を超える月が3か月を超えて連続しないこと。
※月の時間外・休日労働が100時間未満となるよう努める。
◆1日の休息時間
現行の継続「8時間」を継続「11時間を基本とし、9時間下限」
※長距離・泊付きの運行の場合は、運行を早く切り上げ、まとまった休息を取れる例外を規定。
◆その他
・連続運転時間:「運転の中断」は「原則休憩」とする。SA・PA等に駐車できない等、やむを得ない場合は30分延長可。
・分割休息特例:分割の方法を見直し(現行:4H+6H、5H+5H等 → 見直し後:3H+7Hも可)、分割休息が連続する期間を短縮。
・2人乗務特例:車両が一定の基準を満たす場合には、拘束時間を延長。ただし、運行終了後11時間以上の休息を確保。
・予期し得ない事象:事故、故障、災害等やむを得ない場合の例外的取扱いを規定。
重要な内容であるため、詳細情報として以下に「資料1-2」の内容を転載します。
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告案)
自動車運転者の労働時間等の規制については、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)により、拘束時間、休息期間等について上限基準等が設けられ、その遵守を図ってきた。
しかしながら、脳・心臓疾患による労災支給決定件数において、運輸業・郵便業が全業種において最も支給決定件数の多い業種(令和3年度:59 件(うち死亡の件数は 22 件))となるなど、依然として長時間・過重労働が課題となっている。また、自動車運転者の過重労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要である。
改善基準告示は、法定労働時間の段階的な短縮を踏まえて見直しが行われた平成9年の改正以降、実質的な改正は行われていないが、この間、労働者1人当たりの年間総実労働時間は、緩やかに減少(令和3年 1,633 時間(平成5年比:-287 時間))している。
また、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」(脳・心臓疾患に係る労災認定基準)については、平成 13 年の改正で、新たに、発症前1か月間に 100 時間または2~6か月間平均で月 80 時間を超える時間外労働(休日労働を含む。)が評価対象に加えられ、令和3年の改正では、さらに勤務間インターバルが短い勤務についても評価対象に加えられた。
そして、平成30年に成立した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71 号。以下「働き方改革関連法」という。)では、労働基準法が改正されて新たに時間外・休日労働の上限が設けられ、罰則をもってその履行が確保されることとなった。自動車運転者についても、令和6年4月以降、時間外労働について、月45時間及び年360時間の限度時間並びに、臨時的特別な事情がある場合での年 960 時間の上限時間が適用されることとされたところである。
また、働き方改革関連法の国会附帯決議事項として、過労死等の防止の観点から改善基準告示の総拘束時間等の改善を求められている。
このような背景の下、当作業部会において改善基準告示及び関係通達の在り方について検討を行った結果は、下記のとおりである。
この報告を受けて、厚生労働省において、令和6年4月の施行に向けて、改善基準告示及び関係通達の改正を速やかに行うとともに、関係者に幅広く周知を行うことが適当である。
貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の労働時間等の改善のための基準については、次のとおり改めることが適当である。
1.1か月当たりの拘束時間について
拘束時間は、年間の総拘束時間が 3,300 時間、かつ、1か月の拘束時間が 284 時間を超えないものとする。
ただし、労使協定により、年間6か月までは、年間の総拘束時間が 3,400 時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を 310 時間まで延長することができるものとする。この場合において、1か月の拘束時間が 284 時間を超える月が3か月を超えて連続しないものとし、1か月の時間外・休日労働時間数が 100 時間未満となるよう努めるものとする。
2.1日の拘束時間、休息期間について
(1)拘束時間
・1日(始業時刻から起算して 24 時間をいう。以下同じ。)についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、1日についての拘束時間の限度(以下「最大拘束時間」という。)は 15 時間とする。
・ただし、自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行(自動車運転者が所属する事業場を出発してから当該事業場に帰着するまでをいう。以下同じ。)の走行距離が 450 ㎞以上の貨物運送をいう。以下同じ。)であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り最大拘束時間を 16 時間とすることができる。
・最大拘束時間まで延長する場合であっても、1日についての拘束時間が 14 時間を超える回数(※)をできるだけ少なくするよう努めるものとする。
(※)通達において、「1週間について2回以内」を目安として示すこととする。
(2)休息期間
・休息期間は、勤務終了後、継続 11 時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
・ただし、自動車運転者の1週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合、当該1週間について2回に限り、継続8時間以上とすることができる。この場合において、一の運行終了後、継続 12 時間以上の休息期間を与えるものとする。3
3.運転時間について
運転時間は、2日を平均し1日当たり9時間、2週間を平均し1週間当たり 44 時間を超えないものとする。
4.連続運転時間について
連続運転時間(1回が概ね連続10分以上(※)で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。以下同じ。)は、4時間を超えないものとする。当該運転の中断は、原則休憩とする。
(※)通達において、「概ね連続 10 分以上」とは、例えば、10分未満の運転の中断が3回以上連続しないこと等を示すこととする。
ただし、サービスエリア、パーキングエリア等に駐車又は停車できないことにより、やむを得ず連続運転時間が4時間を超える場合には、30分まで延長することができるものとする。
5.予期し得ない事象に遭遇した場合について
事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間の規制の適用に当たっては、その対応に要した時間を除くことができることとする。勤務終了後の休息期間は、継続 11 時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
(具体的な事由)
ア 運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合
イ 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合
ウ 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖された場合、道路が渋滞した場合
エ 異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となった場合
6.住所地における休息期間について
自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする。
7.拘束時間及び休息期間の特例について
(1)休息期間の分割の特例
・ 業務の必要上、勤務終了後、継続9時間以上(※)の休息期間を与えることが困難な場合には、当分の間、一定期間における全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができるものとする。この場合において、分割された休息期間は、1日において 1 回当たり継続3時間以上、合計10時間以上でなければならないものとする。
(※)長距離貨物運送に従事する自動車運転者であって、1週間における運行がすべて長距離貨物運送であり、かつ、一の運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合は継続8時間以上
・ なお、一定期間は、1か月程度を限度とする。分割は、2分割に限らず、3分割も認められるが、3分割された休息期間は1日において合計 12 時間以上でなければならないものとする。この場合において、休息期間が3分割される日が連続しないよう努めるものとする。
(2)2人乗務の特例
・ 自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合(車両内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限る。)においては、最大拘束時間を20 時間まで延長することができる。また、休息期間は4時間まで短縮することができる。
・ ただし、当該設備が次のいずれにも該当する車両内ベッド又はこれに準ずるもの(以下「車両内ベッド等」という。)であるときは、拘束時間を 24 時間まで延長することができる。
・ また、当該車両内ベッド等において8時間以上の仮眠時間を与える場合には、当該拘束時間を 28 時間まで延長することができる。
・ この場合において、一の運行終了後、継続 11 時間以上の休息期間を与えるものとする。
ア 車両内ベッドは、長さ 198cm以上、かつ、幅 80cm以上の連続した平面であること。
イ 車両内ベッドは、クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであること。
(3)隔日勤務の特例
・業務の必要上、やむを得ない場合には、当分の間、次の条件の下で隔日勤務に就かせることができるものとする。
・2暦日における拘束時間は、21 時間を超えてはならないものとする。ただし、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には、2週間について3回を限度に、この2暦日における拘束時間を 24 時間まで延長することができるものとする。この場合においても、2週間における総拘束時間は 126 時間(21 時間×6勤務)を超えることができないものとする。
・ 勤務終了後、継続 20 時間以上の休息期間を与えなければならないものとする。
(4)フェリーに乗船する場合の特例
・ 自動車運転者が勤務の中途においてフェリーに乗船する場合、フェリーに乗船している時間は、原則として、休息期間として取り扱うものとする。
・ その場合、休息期間とされた時間を与えるべき休息期間の時間から減ずることができるが、減算後の休息期間は、2人乗務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならないものとする。なお、フェリーの乗船時間が8時間(※)を超える場合には、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始されるものとする。
(※)2人乗務の場合には4時間、隔日勤務の場合には 20 時間
8.休日労働について
休日労働は2週間について1回を超えないものとし、当該休日労働によって、上記に定める拘束時間の限度を超えないものとする。
文責:JILS総合研究所 遠藤直也
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