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~執筆者紹介~ 公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会 JILS総合研究所 ロジスティクス環境推進センター センター長 北條 英 1989年 ㈱日本能率協会総合研究所 社会環境研究所 2002年 ㈳日本ロジスティクスシステム協会 JILS総合研究所 現在に至る 国土交通省 共同物流等の促進に向けた研究会委員(2018年度)、国土交通省尾 共同物流等の促進に向けた研究会委員(2018年度、2019年度) 等
物流/ロジスティクス分野の今日的課題として、「物流コストの上昇」があげられます。公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が継続して行っている物流コスト調査によれば、企業の売上高に対する物流コストの割合は、1996年度に6.58%の最大値を記録して以降順調に下がり続け、最近では5%を切る水準を続けてきましたが、売上高物流コスト比率のトレンドを分析した結果、2014年度を底に現在は上昇期に入っていると考えられます(図表1)。
製造業などの荷主企業の物流部門は“コストセンター”ゆえ、自社の利益を上げようと思えば物流コストを低減させねばなりません。一方、1990年の物流二法改正により道路貨物運送業の参入規制が緩和され、事業者が増え(注1)、その原資に従業員の賃金が充てられたと思われるトラック輸送運賃の過当競争が続いた結果、荷主の物流コストも下がり続ける傾向が見られました(図表2)。しかしながら、昨今のドライバー不足や働き方改革などを背景に、これまでのようなやり方では物流コストを下げることができなくなった、いや、物流を持続することができなくなったと考えられます。 (注1)トラック事業者の数は、1995年度は46,638社だったが、2015年度には62,176社になっていた。33%の増加。(出典:数字で見る物流2016年度版 物流団体連合会 p.44、数字で見る物流2017年度版 物流団体連合会 p.44)
以上のような背景から、荷主企業は、自社の物流現場の改善は言うに及ばず、物流部門単独ではなく、製造業であれば自社の製造部門や販売部門さらには取引先とも連携しながら、物流コストの“適正化”に取り組む必要がますます大きくなってきたと考えます(図表3)。
このような環境変化の中、荷主企業においては、これまでのような単眼的な物流コスト管理から複眼的なロジスティクスKPI管理へと、思考を改める必要があると思います。11年前にJILSが行った調査では、「総合ロジスティクス評価指標」が大きいほど、ROA(総資産利益率)などの経営指標が大きくなる傾向が見られました(図表4)。
総合ロジスティクス評価指標の内容を図表5に示します。ロジスティクス総合指標は6つの分野の17の指標で構成されていて、物流コストは17ある指標のうちのひとつです。このことは、物流コストが大きくなっても、ROAなどの“経営指標”を向上させる(企業価値を高める)戦略を取り得ることを意味しています。これからは、荷主は物流コストだけでなく、サービスレベル、物流条件、在庫などを管理対象にすべきです。物流コスト管理からロジスティクスKPI管理へとマネジメントの方法を変える時です 。
『ロジスティクスKPI活用の手引き』(JILS 2018年1月)を次のURLから無料でダウンロード出来ます。 https://www1.logistics.or.jp/lkpi/