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JILSニュース

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出荷/輸配送に大きな問題「2024年問題へ対峙」加工食品SCMアンケート結果-のべ395個の問題と取組み

食品ロジ研

食品ロジスティクス研究会は34社の加工食品メーカーのSCM、ロジスティクス、物流部門の部長クラスを中心とした月例研究会です。
2021年度より、年度始まりの5月会合のタイミングで行っている、SCMアンケートの結果概要を共有しています。

2022年度SCMアンケートの結果概要~のべ395の問題と取組み~公開版

2021年度のSCMアンケート結果に続き、問題の数としては減少したものの、問題点が最も多いのは出荷/輸配送となりました。いわゆる、「2024年問題」と関係が深い領域です。
 

領域毎のSCM諸要素の問題の数(2021年度・2022年度)

5つ環境変化が物流環境にインパクト与え、物流に大きな変化/変容が起きている

主に以下の5つの変化が物流環境にインパクトを与え、物流に大きな変化、変容が起きていると考えられます。

①生産年齢人口の減少、都市集積と地方の過疎化等の人口構造変化
②SDGs、カーボンニュートラルなど、所謂、社会共通価値ともいわれる、社会的価値変化
③コロナ禍の在宅、内食化やSNS需要などの消費環境変化
④不確実性の高まりによるBCP高度化、貿易/輸出入、物流の混乱に代表されるリスク環境変化
⑤ドラックストア、ディスカウントショップの台頭に代表される流通環境変化


物流を取り巻く環境変化の概観

「需要予測⇔需給調整⇔在庫管理⇔保管⇔出荷/輸配送」の相関関係も

結果の特徴がより見えるようにするため、問題に寄せられた自由意見の内容に着目し、キーワードを設けて検索・ 分類を行いました。
図にある11のキーワードで検索した結果、出現回数の平均変化率は1.34となり、需給調整の5.78倍を筆頭に、在庫管理(2.05)、出荷/輸配送(1.65)、需要予測(1.42)、保管(1.38)の5つのキーワードの 出現回数の変化率が、平均変化率を超えて大きくなりました。
このことから、これらの5つのキーワードについては、上のような相関がある可能性が考えられます。


見えない、基準が無いものは管理できない

各社では、2024年問題に向けた施策を検討し、実行しなければなりませんが、物流コストをはじめとして、PDCAのパフォーマンスを見える化し、適切に評価しなければなりません。そのうえで、社内の製造、販売等の関係部門をはじめ、委託先の運輸/倉庫事業者、そして、取引先との対話と取組みを進めていく必要があります。

出荷/輸配送の問題点として多く挙げられているのは、納品のリードタイムやロット、待機時間や附帯作業等の改善です。これらを改善するためには、関係者間で目線(指標と基準)を合わせ、地道に取組みを重ねるしかありません。

研究会では、アンケート結果を活用して各社の問題点と取組み、課題を共有しています。また、例年、異業種や卸・小売業の方をゲストスピーカにお迎えし、忌憚の無い意見を交わし、持続可能な加工食品物流の構築を目指しています。




*2024年問題
働き方の改善や魅力的な職場づくりを目指して成立した2018年働き方関連法、その中で「時間外労働の上限規制」が設けられ全産業において適用されているが、自動車運転業務については、適用に猶予期間が設けられており、その施行が2024年である。
物流業界においては、自動車運転業務、主にトラックドライバーの時間外労働の上限規制(年960時間)に伴って発生する問題のことを2024年問題という。

文責/担当:JILS総合研究所 遠藤直也

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