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サプライチェーン強靭化、経済産業省等の関連情報など-国際物流混乱の先のSCM、物流とは

お知らせ詳細

国際物流強靭化

国際海上輸送の運賃や定時制等もコロナ前の水準に戻りつつあり、国際物流におけるコロナ禍の混乱は終息しつつありますが、ウクライナ情勢の長期化、米中間の対立やアフリカのスーダン紛争等、地政学等の不確実性は続いています。

また、国立社会保障・人口問題研究所が2023年4月26日に公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、日本の総人口は50年後に現在の7割に減少、65歳以上人口は約4割に(出生中位・死亡中位推計)なるとし、2020年国勢調査による1億2,615 万人が2070年には8,700万人に減少すると発表しました。

このような国内外での変化の中、企業の持続的な成長のためには、サプライチェーンの強靭化が不可欠であり、その重要な要素がSCMとそれを下支えする物流の強靭化です。

この強靭化を実現するためには、近道や魔法の杖等はなく、物流業務の可視化、定量化による清流化および標準化、そのうえでのデジタル化を事業横断かつサプライチェーン関係者間のデジタル連携(≒デジタルトランスフォーメーション?)を正しい順番で地道に取り組むことが肝要と考えます。

今回は、サプライチェーンの強靭化、その重要な要素であるSCMとそれを下支えする物流の強靭化に関わる経済産業省から公表されている関連情報等を共有させていただきます。

デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会
昨年10月の記事でもご紹介していますが、2023年3月20日に最終の第6回を終了し、最終報告が間もなく公開されます。貿易分野データ連携ワーキンググループ、サプライチェーンデータ共有・連携ワーキンググで構成された研究会です。

概要
①日本とアジア各国の経済関係の深化、②サプライチェーン強靱化といった二つの政策目的実現に資するアプローチとしてサプライチェーンのデータ連携に焦点を当て、今後の変化の方向性に影響を与える種々の要素についても考察を深めながら、官民が共同でアジア地域大でのデータ連携のあり方を検討し、取組を進めるため、「デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会」を設置する。

◆インド太平洋地域サプライチェーン強靱化係る報告書
 日本機械工業連合会による、令和3年度補正海外市場調査等事業費補助金 (インド太平洋地域サプライチェーン強靱化事業)に係る調査報告です。

情報通信事業におけるグローバル SCM強化
サプライヤー~顧客までのEnd to Endでのデータベースの作成・運用を進め、リアルタイムでの重点リスクの識別、リスク対応を含めた事業判断スピード向上、顧客やサプライヤーも交えた事業の最適化の実現を目指す。

海外貿易プラットフォームとの連携による貿易手続きの円滑化事業
貿易実務、物流における課題解消のカギを握るブロックチェーンを活用し、貿易書類の原本性を担保しながら、安心安全にデータ交換のプラットフォームをアジア地域の実ビジネスの取引データで伝送実証すること。さらに、商工会議所の原産地証明の電子発給システムやCO2排出量算出ソリューションとの伝送実証すること。


最後に、当会の「国際物流強靭化推進研究会(6月より始動)」のご案内です。
2022年度の取組み「国際物流強靭化推進ワーキング」は、メンバー間の情報共有やゲストスピーカ等の招聘による情報収集を主目的とした「国際物流強靭化推進研究会」に名称も改めて活動いたします。

荷主企業として事業の持続性と競争力を高めるため、国際物流の強靭化に向けて、関係者間で取組み等の共有および協調・連携すべき事項等に関する検討を行います。そのために必要な仕組みやシステム、ソリューションを提案いただけるソリューション企業のご参加もお待ちしています。

◆研究会で意見交換する内容の例
 ・国際物流におけるKPIの選定と運用や課題
  (LT、スポットレート率、積載効率等をどのような指標を取得してモニタリングし、集めたデータを社内他部署にどう展開しているのか。)
 ・物流情報の可視化・デジタル化(ブッキングデータ、船積み実績、コンテナのトレーサビリティ、LT、運賃等)
 ・工場から顧客までの一連の物流の流れ(スループット)をモニタリング状況、運用等、異常値があった場合、その改善プロセスはあるか(どうアラートを出し、改善
  アクションに繋げているか)
 ・国際輸送の運賃交渉について(契約期間、方法、スケジュール、市況感等)
 ・国際輸送のトラブル発生時の情報交換(例:港湾スト 影響、対応策など)
 ・国際輸送コスト削減施策(コンテナ積載効率改善、ラウンドユースなど)
 ・国際物流(輸送、包装、保管・荷役等)に関する作業手順のグローバル統一化
 ・国際輸送のBCP(地政学リスク、コンテナ不足時のスペース確保対応など)の想定と備え
 ・環境規制の潮流と対応、CO2削減の取り組み(CO2排出量、環境対応をしている船社を選定に反映するかなど)
 ・海上輸送業界の今後の動向予測(どのように情報を入手、分析しているか)
 ・全社組織における物流の位置づけ、体制やグローバル販社物流ガバナンス(横断的な物流機能と一般的な事業部体制とのつなぎ。物流とSCMの関係)
 ・人材育成の仕組み 
 ・国際輸送、SCMにおけるDX推進、新サービスの紹介、評価 等々

文責/担当:JILS総合研究所 遠藤直也

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