本文へスキップします。

H1

コラム記事の特別公開《第3弾》「S&OPにおけるワンナンバーは本当に目指す価値があるのか-知の融合で想像する需要予測のイノベーション」

お知らせ詳細

需要予測研究会

今回は需要予測研究会(2023年1月~3月)のファシリテーターの山口氏による、JILS機関誌『ロジスティクスシステム』の2022年夏号に掲載された「ワンナンバーは本当に目指す価値があるのか」を公開します。

《目次》
◆ワンナンバー神話
◆ワンナンバーを超えるレンジ・フォーキャスト
◆必要なのはワンパーセプション
◆直感予測力を表す市場感応度バイアス

 

《本文の頭書き(記事抜粋)》
S&OPに携わったことがある方は、「ワンナンバー」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。
S&OP自体は1980年代にアメリカで提唱されたものの、日本企業に広がってきたのは直近10年くらいです。
当初は、S&OPのために社内の複数の計画を統合するワンナンバーが必要だ、という論調でしたが、近年では発祥の地アメリカでも、厳密なワンナンバーを目指す姿勢に疑問が投げかけられています。
私(山口氏)自身も間接的に、2015年からS&OPプロセスの導入に関わってきました。その中で、実は常にワンナンバーに対して違和感を覚えていました。その後、様々な業界のプランニングの実務家と話をし、海外の論文などを調査する中で、現実的なワンナンバーへの向き合い方を整理しました。
本稿ではいくつかの海外の論考を紹介しながら、私なりのワンナンバーへの向き合い方を提案します。 

※以降、本文(PDF)に続く。

さらに、食品ロジスティクス研究会の2022年度の9月会合にて、山口氏にご講演頂きました。
コーディネータの池田氏に会合毎にまとめて頂いている「会合要約」の内容も併せてご紹介します。

S&OP進化の過程で『ワンナンバー』の概念が普及してきたが、実際にはエクセレント企業でも厳密なワンナンバーのみでは運用していない。需要予測はシナリオ分析に基づいた“レンジ”で設定し、チャンスとリスクに対する考え方を社内で共有しているケースが多い。また、シナリオ分析を行うための影響因子は、人の知見に基づいて設定されたものが“最も精度が高い”。

《会合における質疑応答の要約》
・ワンナンバーという言葉は、生産、営業、SCM部門の“共通言語”という意味で使っている。実際には幅を持ったレンジ・フォーキャストで運用している。(メンバー企業例)
・予測で大切なのは、“チャネル”と“ターム”。どのチャネルを狙って予測を立てるのか、どのタームに焦点をあてるのか=予測の用途によっても対象(メッシュ)が異なる。
・影響因子のウエイト付けは“人が推定する”が結論。様々な情報ソースを試したが、結局は人の知見を増やすことが最も精度の向上に繋がった。(山口氏の化粧品メーカー時代の経験則)

・説明変数の要素数はMAXでも30~40。それ以上、要素数を増やしてもあまり意味がない.
・デマンドプランナーとして“センス”も重要な要素だが、消費財の場合、一番大切なことは、その商品が本当に好きか?お客様の立場で考えることができるか?ということ。商品に興味がない限り、いくら良いツールがあっても工夫が生まれない。

以上です。

需要予測研究会では、S&OPで成果を創出するため、起点となる需要予測、その後工程の在庫・供給計画、さらにS&OPプロセスの成熟度を診断するツールを使って、参加企業各社に現状を客観的に把握いただきます。それを基に、事例や直近の課題を共有いただいて、参加企業間での示唆の提供、人的ネットワーク形成などを支援をいたします。

また、2022年度は需要予測だけでなく、それを基にした在庫・供給計画の最適化や、経営層をまじえた意思決定であるS&OPまで、経営的な成果を創出するオペレーション全体の成熟度を診断し、各社のS&OPプロセス導入、高度化についてディスカッションします。

需要予測というテーマに特化していることもあり、毎年、意見交換が大変活発な研究会です。
ぜひ、ご参加をご検討ください!

担当:JILS総合研究所 遠藤直也

一覧へ戻る