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サプライチェーン、SCM/ロジスティクス、物流を俯瞰するために(2)~国際物流混乱の先のSCM、物流とは?~

調査・研究

2023年1月11日付の記事では、ゴールドマンサックス社のレポートにて、世界経済の4大テーマを2075年までの見通しをアップデートしていただきました。

今回は足元、2027年までをZOOM INしてみます。
そのための材料として、みずほ銀行の産業調査部が定期的に発信しているレポート、「日本産業の中期見通し-向こう5年(2023–2027年)の需給動向と求められる事業戦略」をご紹介します。

製造業、流通業の方には自社の製品・商品のサプライチェーンを俯瞰、3PLや物流事業者、サービス業等の方々には、各業界や主要製品群のサプライチェーン、SCMやロジスティクスを俯瞰し、マーケティング等の材料にもなるはずです。

◆産業総合の要約
 内需・国内生産縮小の流れに屈することなく、構造的課題の解決を成長実現の糧に

 ◇事業環境(短期)
 ・2023年にかけて、製造業は半導体等の供給制約が緩やかに解消へと向かうものの、海外経済の減速に伴う輸出減少が生産活動の重石に。
  サービス業はコロナ禍からの回復やインバウンド再開が進むものの、物価高や先行き不安から国内消費は力強さを欠く

 ◇事業環境(中期)
 ・2024年以降は、国内の人口減少や基幹産業の輸出鈍化といった構造変化がいよいよ顕在化
 ・業種毎では、素材・自動車といった基幹産業が、内需と輸出減少により生産水準が切り下がる中、CN化やEV化等、ゲームチェンジへの対
  応を迫られる。
  エレクトロニクス・ITは、デジタル化進展等により市場が堅調に拡大する一方でグローバル競争が激化。
  エネルギー産業は、安定供給・確保が至上命題となる中、CN実現に向けた供給構造の転換も待ったなしの状況。
  内需型の生活・社会インフラ産業は、人口減による需要下押し圧力が一段と強まり、建設・物流等は労働力不足が深刻化

◆物流の要約
 中長期的な貨物量及び付加価値の変化を想定した戦略策定が重要に

◇需給動向
(国内トラック輸送)
・B2B市場は、短期では消費・生産関連貨物の需要の底堅さからFY2022は前年度比+1.2%を見込む。中期では減少基調。B2C市場は拡大継続
(海上コンテナ輸送)
・短期的にはコロナ禍からの荷動き増加が落ち着き、インフレによる個人消費の低迷から成長減速。
 2022年は対象航路全体で前年比▲1.2%を見込む。中期的には各国経済の成長に伴い荷動きは増加基調を予想

◇競争環境
(国内トラック輸送)
・人手不足の顕在化により、短期的には輸送能力を持つ企業が力を持つように。中長期的には貨物量減少、自動化・デジタル化の進展により合従連衡が進む可能性
(海上コンテナ輸送)
・国際物流においては大手フォワーダーの合従連衡、コンテナ船社の国際物流事業拡大、デジタルフォワーダーの台頭により、利用運送事業者の競争が激化 
《目次/掲載されている業種等》
産業総合、加工食品、化学、医薬品、石油、鉄鋼、非鉄金属、医療機器、エレクトロニクス(半導体)、エレクトロニクス(電子部品)、エレクトロニクス(完成品)、自動車、建設、電力、都市ガス、通信、情報サービス、鉄道、物流、航空、小売、不動産、医療、介護 等

なお、このような国内外での変化が激しい時代、物流を国内、国際で分断して考えるのではなく、一体的な枠組みとして考えていくことで、課題解決の突破口を見出す可能性が高まるとも考えられます。
※例:内航船と外航船の接続の最適化、そのための輸送モード(通関やICD等を含)選択の最適解は? 等々。

また、これらを俯瞰した枠組みで考えるにあたっては、以下のような要素(例示)が必要かもしれません。
①社会性:SDGs、カーボンニュートラル 等
②持続性:不確実性対応、BCP/セキュリティ 等
③生産性:物流SQCD/在庫 等
④可視性:見える化/ECRS、デジタル化、DX 等
⑤再現性:人的資本経営、人財/HRM 等
 ※人的資本経営等に関する参考情報
  伊藤レポート(経済産業省)をサプライチェーン、物流で考察~日本企業の競争力と経営、サプラチェーンの強化に向けて~(2021年4月)
 ※BCM・BCP、レジリエンス等に関する参考情報
  レジリエンス、企業文化と人の育成を考える(2020年8月)
  
最後に、物流を国内、国際の一体的な枠組みとして提示している「国際物流強靭化ワーキング」の全体像「目指す方向の枠組」をご参考までに、共有させていただきます。同ワーキングの経過等については、近日中にご報告させていただく予定です。

文責:JILS総合研究所 遠藤直也

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