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物流現場における安全対策やQCサークル活動の実践─ロジスティクスシステム研究会7月会合報告

ロジ研

ロジスティクスシステム研究会では、第3回会合を7月19日(火)に実施しました。
7月会合では、(株)エコネクト物流とカリモク家具(株)の2社より、各社における取組についてご発表をいただきました。

1.実施概要
1)日  時 2022年7月19日(火)14:00~17:00
2)開催方式 当協会会議室での開催とZoomによるオンライン開催の併用

2.実施内容
1)発表①「リアル物流における安全対策」

■発表企業:(株)エコネクト物流

■発表のポイント
○「安全」に対する捉え方
・安全のための特効薬はない
・安全軽視の経営は持続できない
・安全対策は性悪説の考えのもと実施する(人はルールを守らないもの、誤りを犯すものである)

○自社における安全管理体系
・安全衛生コンサルタント契約
・安全衛生委員会
・輸配送や荷役における安全対策および職員の健康管理
・安全衛生に関する教育の取組

■事後アンケートでのコメント
○現場の安全対策・管理・教育に苦心されていることが良く分かりました。会社の損失防止に直結するため、経営命題になっているものと思います。さらなる改善が必要となる項目もあるようで、背景にある要因分析が重要との意見等が参考になりました。

○安全はすべてにおいて優先されるものであると思います。とはいうものの現場作業者・ドライバーに徹底させる為には本人の意識レベルの向上が欠かせません。上役から「やれ」と言ってもその場限りになりがちです。地道な安全教育に勝るものなし、と感じた次第です。

○物流全体における事故・安全対策の全体像をお話頂き大変参考になりました(特に安全衛生コンサルタントのお話)。「トラック運転手のイメージ」についてのお話がありましたが、個人的には最近はサラリーマン型ドライバー(家族を養うために仕事、規則正しく健康的な生活、人当たりがいい)が多くなっているのかな、というイメージを持っています。


2)発表②「QCサークル活動を通じて、人財育成に活かすチームリーダー育成」

■発表企業:カリモク家具(株)

■発表のポイント
○問題・課題認識
・倉庫作業者の立場では言われたことをこなす作業の連続で、向上心の減退・カイゼン活動の縮小・達成感の欠如といった問題がある
・各作業者が個人主義に陥りがちであり、助け合いの気持ちが薄れる
・上記の問題意識のもと、QCサークル活動の推進により作業者に達成感を感じてもらうほか、実績を評価に繋げる取組を進めている
 
○QCサークル活動の事例「保管倉庫における出荷効率の向上」
・現状把握と問題点の洗い出し
・活動計画の策定と特性要因図を用いた分析
・改善の実施とその効果の確認

■事後アンケートでのコメント
〇人材(人財)育成の対応について、QC活動を通じて人のモチベーションを上げながら、現場も見える化・作業標準化する良い事例であると感じました。リーダーの素質が鍵になるものと思います。実際の現場では、家具のサイズ・ロット等も様々と思われるため倉庫作業者への教育・指導は大変苦労さていると感じました。
 
○QCサークルの成功について、「トップに熱意のない活動はすたれていく」という言葉が参考になりました。ご指摘の通り、現場で良い活動が行えても、トップからの評価に反映されないと部下のモチベーションにもつながらないと考えられることから、人材育成の観点でも色々と考えさせられる内容でした。

○取扱物が大きく、荷扱いにはかなり気を遣う倉庫である印象を受けました。荷物が大きく、移動・ピッキングも大変で、作業者の動線確保も重要な要素だと感じました。QC活動を通して、勘や経験だけの改善でなく、フィッシュボーン分析などの要因分析をされていて、作業者の品質に対する能力の底上げにつながっていて、良い取組みだと思います。庫内業務という重要であるのに、単調な作業であるなか、将来の人材育成を見据えられた活動は素晴らしいです。

3.会合全般に関する事後アンケートでのコメント
○改善は、継続的なものにするための仕掛けが重要であることを再認識できた点が有益でした。

○人材教育に特効薬はなく、教育を振りかざしても、やらされてる感があると身に着きません。若くても年寄りでも成長するのに年齢は関係ないと思います。年齢が50代60代でも学ぶ成長するとの気付きがあれば、そこからでも伸びてゆけるものと思います。これに気付けるかどうかは本人の気持ち次第で、会社はその手助けをすることが必要であると感じました。

○実際に現場で試行錯誤しているテーマで有益でした。


4.事務局所感
今回の2社のご発表を通じて、「凡事徹底」という言葉を実践することがいかに大切であり、いかに難しいことであるかを強く感じさせられました。また、今回ご発表をいただいた2社の主な取扱品目が大型で重量のあるものが中心(エコネクト物流:建築資材等、カリモク家具:家具等)であることから、他の品目にはない安全対策や改善活動の難しさを垣間見ることができました。当たり前のことを当たり前に遂行するために、いかに企業全体として取組を進めるか、いかに従業員のモチベーションを高めるかについて考え、実行することは企業価値向上のために大変重要であり、今回のご発表はそのための貴重な事例になるものと思います。


※2022年度参加メンバー企業一覧:22社24名(社名50音順/2022年7月31日現在)
アセットソリューション、アビームコンサルティング、伊藤ハム米久ホールディングス、
エコネクト物流、SBSリコーロジスティクス、カリモク家具、関東柳川合同運送、
京セラコミュニケーションシステム、鴻池運輸ジョーンズラングラサール、住化ロジスティクス、
西濃運輸、大成建設、帝人、東芝デジタルソリューションズ、トラフィックレンタリース、
日本貨物鉄道、ハンナ、ピー・アイ物流企画、日立製作所、日野自動車、ベネッセコーポレーション

過去の参加メンバー企業はこちらからご確認いただけます。

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