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1.生産分業体制の検討に必要な「多面的な評価」 コロナ禍をきっかけに、サプライチェーンの脆弱性、とりわけ中国への過度な依存に対する懸念が強まっており、 海外拠点の見直しに言及する企業は多い。一方で、世界の工場として存在感を増した中国にすぐさまとって代わる ような生産能力を有した国が見当たらないのも事実だ。今後、サプライチェーン多元化の一環として、 中国の代替先となる国・地域の生産拠点が徐々に整備されていくとみられるが、その効果が顕現するまでには かなりの年月を要する。したがって、当面は在庫水準の引き上げや現地調達比率の引き上げを中心に、 既存サプライチェーンの強化が図られることになるだろう。
その先となると状況は複雑だ。世界に張りめぐらされたサプライチェーンは、これまでも技術革新や新興国の 台頭など時代の変化とともに変容を遂げてきた。コロナ禍を契機に、サプライチェーンの強靭性が強く意識 されるようになったのも、ある意味で時世を反映したものといえる。一方で、従来から検討されてきた現地の 賃金水準やインフラの整備状況、貿易・投資規制、政治の安定性などの重要性はなんら変わらない。 また、サプライチェーンの先行きを占ううえでは、先鋭化する米中対立の余波への留意はもちろんのこと、 デジタル化の進展やそれに伴う各国の情報規制のあり方にも目配りする必要がある。
2.日系企業にとって「脱・中国依存」のハードルは高い ここまで中国の立場から生産移管の影響をみてきたが、「日本」を主語に中国との取引をみると、違った姿がみえてくる。 実際、中国との貿易を通じた取引の内容は、各国の地理的状況や産業構造によって異なる。地理的な近さから、 これまで中国と生産分業を進めてきた日本は、取引のすそ野が広く、また中国への依存度も自ずと高くなる。 言い換えれば、日系企業にとって中国依存からの脱却は、喫緊の課題である一方で、非常に大きな変化を伴うことを意味する。 そこで、先の分析と同様、日本の中国からの輸入実態を確認する。
2018年における中国からの輸入金額は、日本の輸入総額の23%に相当する1,736億ドルだった。HSコード(6桁)に基づき、 輸入品目ごとの中国依存度を計算すると、中国から輸入している全4,178品目のうち1,438品目で中国のシェアが50%を超えた。 1,438品目の輸入金額は合計1,223億ドルで、中国からの輸入金額のおよそ7割に達する。前述の全世界ベースでみた中国依存度 に比べて、品目数で3.1倍、輸出金額シェアで2.6倍の水準となり、改めて日本と中国の結びつきの強さを確認する結果といえるだろう。
特筆すべきは、特定の品目における中国依存度の高さである。1,438品目のうち769品目で依存度が70%を上回り、 90%を超えるものも276品目あった。PCやゲーム機器、エアコンといった家電製品の依存度が軒並み90%を超えたほか、 水産物や野菜の加工品、フッ化水素や酢酸エチルといった化学製品も、その大半が中国からの輸入によって賄われていた。 仮に、これら品目の中国シェアを50%まで低下させるには、中国からの輸入金額の2割に相当する350億ドル分を他国に 振り替える必要がある。果たして、これだけの規模を他国から代替調達できるだろうか。 ※1.2の引用「コロナ後のサプライチェーン「脱・中国依存」の可能性を見通す/みずほ総合研究所」
3.現業部門とコーポレート部門のSCM役割分担とベンチマーキング有用性(上野コーディネータ)
「日本企業のサプライチェーンは、自律的な現業部門に支えられつつがなく運用されているように見えるが、 コーポレート部門はどのような役割を担っているのだろうか。
現業部門が短期的な需給の調整やそのための仕組み作り、というオペレーショナルから戦術的な意思決定を担う一方、 コーポレート部門は現業部門が構築運用するサプライチェーンが企業戦略の実現に貢献しているのかを判断し、 必要に応じた軌道修正や、人材・設備・資金などの資源配分を行うことがその責務だ。
そのためにはまず、自社のサプライチェーンが”適切に”構築運用されているか客観的に判断する必要があるが、 その手段としてはサプライチェーンの”パフォーマンス”を定期的にモニタリングすることが有用だ。 さらに、パフォーマンスに大きく影響するサプライチェーンの”複雑性”と、パフォーマンス改善のための” 取組み(プラクティス)”を加えた三つの視点から、類似する業種・業態の企業群でベンチマーキングを行うことで、 自社のサプライチェーンが”適切に”構築運用されているかを判断し、改善の方向性を明らかにすることが可能になる。
加工組立系の製造業を対象とした、グローバルロジスティクス研究会を通して、自社のサプライチェーンの評価 「何が出来ていて、何が出来ていないのか、何を優先的に取り組むべきなのか」、確認しつつ、 他者の事例の背景、目的を理解し、自社としてどのように取り入れることが出来るのか、 模索・研究する機会として、ご活用ください。
「グローバルロジスティクス研究会」-SDGsが迫るサプライチェーン変革へ 10月15日(木)スタート!2021年3月まで月例6会合開催
【コーディネータ】 上野 善信 氏/(株)バリューグリッド研究所 代表(金沢工業大学虎ノ門大学院教授)
【2020年度幹事メンバー企業 ・社名五十音順】 ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(株)、ブラザーインターナショナル(株)、ヤマハ(株)、(株)リコー 【2020年度参加予定企業 ・社名五十音順】 NGKロジスティクス (株) 、ダイキン工業(株) など http://jils.force.com/ShareDetail?productid=a0R5F00000gJEUC
2020年10月【キックオフミーティング】 1)「現業部門とコーポレート部門のSCM役割分担とベンチマーキング有用性」 上野コーディネータ講演 2)「SDGs、ESG経営が迫るサプライチェーン変革とは(仮)」 (株)日本政策投資銀行 3)製造、販売の特性および自部門の管掌と海外販社、委託企業管理等の概況の共有 メンバー企業の「グローバルロジスティクス基本情報」の共有(共通フォーマットによる各社発表とディスカッション)
2020年11月【事業継続のためのサプラチェーン・ガバナンス、リスク管理と物流管理の考察】 1)「サプラチェーン・リスク管理のフレームワークの考え方と実行管理(仮)」 ※講師調整中 2)「海外販社等のガバナンス強化、リスクと物流管理の取組みと課題(仮)」 幹事メンバー企業発表 3) ゲスト講師とメンバー企業のディスカッション
2020年12月【グローバルロジスティクス・パートナー企業の選定、PDCAと求められる組織、人材像の考察】 1)「グローバルSCMを成功させるための仕組みづくりと組織、人材像(仮)」 (株)野村総合研究所 2)「柔軟なグローバルロジスティクスを推進する3PL、物流企業との関係構築(仮) 」 メンバー企業の取組みと課題の共有(共通フォーマットによる各社発表とディスカッション)
2021年01月【サプライチェーンを構成する企業関係連携とマネジメントの在り方の考察】 1)「サプライチェーンとリスクマネジメントの成熟度と企業競争力の考察(仮)」 PwCコンサルティング(合同) 2)「海外販社、販売物流のQCDの設定とPDCA推進(仮)」 幹事メンバー企業発表 3) ゲスト講師とメンバー企業のディスカッション
2021年02月【中国におけるサプライチェーンの状況、物流管理の考察と各社の人材育成の取り組みの共有】 1)「コロナ禍でさらに重要視される中国巨大市場攻略とサプライチェーン戦略(仮)」 (株)船井総合研究所 2)各社グローバル人材育成の取り組みと課題の共有(本社コーポレート部門、海外販社等) メンバー企業の取組みと課題の共有(各社発表とディスカッション)
2021年03月【DX推進によるグローバル在庫政策、「生販物」連携の考察】 1)「流通在庫情報からS&OP活用のデジタルサプライチェーンのシステム考察(仮)」 (株)クニエ(NTTデータグループ ビジネスコンサルティング) 2)「流通在庫情報からS&OP活用のデジタルSCM構築事例(仮)」 ※ヘルスケア製造業 3) ゲスト講師とメンバー企業のディスカッション など 担当:JILS総合研究所 遠藤 customer@logistics.or.jp
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