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お知らせ詳細

~日本企業の競争力と経営、サプラチェーンの強化に向けて~
■「コラム:伊藤レポート(経済産業省)をサプライチェーン、物流で考察」■

お知らせ

1.伊藤レポート(経済産業省/2014年~)とは

 企業の「稼ぐ力」を高め、持続的な企業価値向上を促す観点から、コーポレートガバナン
ス改革と企業と投資家との対話の質向上に向けた施策を実施。2014年以降、コーポレートガ
バナンス・コード、スチュワードシップ・コードが策定、公表されました。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/itoreport.pdf

続いて、2017年の「伊藤レポート」は、インベストメント・チェーン全体を見据え、これら
施策の基礎となる課題分析と提言を実施。その後の進展を受け、「伊藤レポート2.0」を発表、
企業と投資家の対話を促進するため、「価値協創ガイダンス」が策定、公表されました。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/itoreport2.0.pdf
≪概略≫
企業による再投資では、競争優位・イノベーションの源泉となる「無形資産投資」が重要とし、
投資家ではパッシブ投資やESG投資が拡大、無形資産投資、ESGへの対応が投資家に「費用」、
「コスト」として認識されると、企業価値向上にはつながらないとした。
・中長期的な企業価値向上に向けた価値創造ストーリーについてのガイドライン
企業と投資家をつなぐ「共通言語」
価値創造の流れの整理(価値観→ビジネスモデル→持続可能性・成長性→戦略→KPI→ガバナンス)

さらに、2020年、『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤
レポート~』が公表されました。
 https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/20200930_report.html

 これは、企業価値の持続的成長を実現のために重要な事実は、企業価値の主要な決定因子が
有形資産から無形資産に移行していること、無形資産の中でも人的資本は経営の根幹に位置
づけられるべきものであるとし、その意味で人的資本の価値創造は企業価値創造の中核に
位置する。にもかかわらず、平時や順境にあるときは、人的資本に関わる問題を本質的に捉え、
抜本的に考え直すことの必要を説いています。

 こうした中、まず何よりも、各企業の経営陣が率先して、企業理念や存在意義(パーパス)
に立ち戻り、目指すべき将来のビジネスモデルや経営戦略からバックキャストして、
保有する経営資源との適合性を問う必要がある。とりわけ、人的資本の観点から、
そうしたビジネスモデルとのギャップを見える化し、それを埋めていくことが求められと
して、人材戦略を経営戦略に適合させるという一方向の見方だけでなく、人材や人材戦略自体
が、経営戦略自体の可能性を広げることにも注目すべきである。こうした人材戦略と経営戦略
を同期させるプロセスを通して、中長期的な企業価値の向上に努める必要があるとしています。

2.伊藤レポート「稼ぐ力」と「経営戦略と人材戦略の適合」をサプラチェーン、物流で考察

 これまで、有形資産の強みとして、商品力・ブランド力が製造業の強みの源泉であり、それ
は今も根底にあるものと考えられます。しかし、GAFAの膨大なデータを収集蓄積するプラット
フォーム戦略にどのように対峙または差別化を図るのか、少なくとも、『伊藤レポート』で
言われ続けている「ROE/資本効率」や「PBR/時価総額÷純資産」を上げていかなければ、
上場企業にとっては買収リスクも伴うことになります。

 その意味でも、製造業においては、サプラチェーンを視野に入れた事業、商品管理の徹底が
求められます。売上高物流コストにしても、全ての物流費が可視化され、管理されている企業
がどれだけあるか、厳しいところではないでしょうか。製造原価や販売管理費等に埋もれている
ケースが多いのが現実の問題として存在します。

 しかし、いま盛んにキーワードとして連呼されている「デジタルトランスフォーメーション」
をうまく活用することが出来るのではないかと個人的には考えています。所謂「デジタル」へ
向かうためには、業務のプロセス、更に取引条件(契約)をも見える化し、全社的な徹底した
改善の原則である「ECRS」を進めることで、サプラチェーン視点で製販物を最適化するSCM、
物流を劇的に変革することが出来るのではないでしょうか。

 また、これらを実現するには「人財」の育成が大きなポイントになります。『伊藤レポート
人材版』でも言われているとおり、今後益々、経営・事業戦略と人材戦略の同期が必要になり
ますが、生産・営業・物流等の単機能的ではない、サプライチェーン、SCMの視点を組み入れた
全社社員への教育が求めれます。計画系のSCMと実行系の物流は、調達・購買、生産、販売も含
め、経営・財務・システムや輸送、倉庫等の協力会社、取引先と直接・間接的な接点もあるため、
この領域の人財育成は一朝一夕ではいかない難しさもあるのも事実です。

 当会の加工組立系製造業を中心とした「グローバルロジスティクス研究会」の2020年度の参加
企業の中には、自社SCM部門としての人材像を設定、キャリアプランの面談からキャリアパス設計、
スキルマップ構築と研修メニュ―の展開、人事評価との連動など、先進的な取組みもありました。
https://www1.logistics.or.jp/newest/glogiken/

 また、物流事業者、物流子会社を対象とした「物流企業のHRM推進研究会」も6月から開始します。
本日(4/16)の中核メンバーとしてご参加いただけそうな方々との打合せの中で、「今後は人事の
優劣がが物流企業の優劣に直結する」という某中堅物流企業の経営層の方のコメントが印象的でした。
https://www1.logistics.or.jp/newest/hrm.html

  『伊藤レポート』の「稼ぐ力」「経営戦略と人材戦略の同期化」をサプラチェーン、物流の目線
から産業界、会員の皆さんと共に実現していければと願っています。

文責:JILS総合研究所 遠藤直也 customer@logistics.or.jp

 

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