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コースの位置づけ

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ストラテジックSCMコース 講師代表
東京工業大学名誉教授 圓川隆夫

SCMについての世界のランキングに、米国の調査会社Gartnerが毎年公表するSupply Chain Top 25があります。これは2010年にはじまったものですが、直近の2023年までの間、日本企業の名前は2014年トヨタの24位の1回限りで、20世紀の“ものづくり”で世界をリードした日本企業の名前はあがってきません。なぜでしょうか。

今でも日本企業は現場の見える化や改善力は強いと思われますが、海外ライバル企業はそれを十分学んだ上で、“モノ”から“コト”のビジネス戦略のもとDX(デジタル・トランスフォメーション)によるサプライチェーン全体の見える化とそれに基づく顧客価値創造により、一気に勝者になる傾向があります。このような状況で世界と戦いうる人材になるためには、現在の状況を踏まえた戦略的SCMのリスキリング、学び直しが不可欠です。

本講座は、2010年に東京工業大学を中心に集まったSCMの第一線で活躍されている企業の方々や教育研究者の議論から立ち上げられ、JILSへの移管後も取り巻く環境の変化に対応して常に内容をブラッシュアップさせて参りました。今日まで業種や専門の壁を越えた約650名の修了生を送り出し、その同窓生のネットワーク、SSFJ(Strategic Supply Chain Management Forum Japan)も世界に広がっています。この輪自体も本講座の価値を構成する揺るぎない財産です。

コロナもようやく終息に向かう一方で、sustainability推進の高まり特にサプライチェーンレベルでのESG(Environment, Society, Governance)のパフォーマンスが重要になっています。さらには米中摩擦やウクラウナ侵攻に伴うサプライチェーン混乱や資源高騰から、JIT(ジャスト・イン・タイム)の見直しや経済安全保障の促進といった更なるSCMのパラダイムの変化が進行しています。

今、これらに対応できる人材こそ、過去30年停滞してきた日本の労働生産性を高める担い手でその育成が喫緊に求められています。それは、「顧客価値は何かを見極めでき、それを創造する“コト”をデザインし実行するために、(顧客を含めた)パートナーと共創・リードする力」です。講師陣と一丸となってこのようなSCM力を、講義・演習・グループ討論・発表を通して、磨き身に着けようではありませんか。

このような方に受講をお勧めします

極めて戦略的であり、かつ経営的な重要性をもつSCMの構築や改革は、経営的な視点、言い換えれば総合的、鳥瞰的な視点をもって、全社的な立場から推進されなければなりません。そのためには経営トップの積極的理解と優れたプロジェクトリーダーの存在が不可欠です。また、情報システムのリーダーがSCMについて理解し、システム構築がされることも重要な要素です。

このような観点から、このコースは経営幹部や、特に経営企画部門のスタッフの方々と共に、全社的な情報システムの企画・構築に当たられる方々にも受講していただきたいと考えています。

また、すでに企業等において、サプライチェーンに関する業務の経験を持ち、解決すべき課題や問題意識を持っている経営者や中堅幹部社員の方々、システム部門の方々に参加いただいて、専門的な知識の習得と実務に即した能力を身につけていただきたいと考えています。

過去の受講者の所属部門(一部)

・外資系メディカルメーカーSCM部門
・電機メーカー生産管理部
・ゼネコン国際プロジェクトチーム
・食品業SCM推進グループ
・商事会社物流企画部
・商社系ロジスティクス企業
・コンサル会社事業開発コンサルティング部門
・物流ソフトウェアベンダー開発部
・化学メーカー戦略サプライチェーン部
・流通業SCM本部
・国際物流業経営企画部門

受講者の感想(一部)

●「SCMを志す仲間 メーカー、物流業、コンサルタント、など、さまざまな職種の方と、多様な問題意識をぶつけ合うことができた。」
  物流業ネットワークデザイナー

●「全体のプロセスを見て問題を認識することが、解決策を生み出し、企業の成功へ導くスタート地点だということを、グループ課題演習での議論を通して学びました。」
  外資系製造業SCMマネージャー

●「SCMに関心を持つ講師、グループメンバー、クラスメンバーと交流でき、コース終了後も繋がるきっかけを作れたことは最大の収穫です。」
  メディカル企業SCM部門

●「ORの考え方など、文系の自分にはなじみのなかった分野を知ることができ、積極的に習得したい考え方が見つかった。」
  コンサルティング会社SCMコンサルタント