DX推進の突破口を討議と発表から見つけ出す─ロジスティクス研究会11月会合報告
ロジスティクス研究会では、第7回会合を11月24日(金)・25日(土)の2日間にわたって実施しました。
11月会合は、通常の会合で実施している「メンバーからの事例発表」ではなく、特定のテーマについて討議し、その結果を発表していただく、「集中討議」という形で実施しました。
集中討議テーマ:「DX推進上の問題・課題と解決策」
本研究会における今年度のテーマとして「DXの本質とは何か?」を掲げています。これまでの会合において、メンバーからの発表等によってDXに関する知見を深めてきました。
集中討議ではメンバーを以下の討議対象ごとに5グループに分け、DX推進を阻む要因や、これを乗り越えるために必要な考え方・アイデアを討議し、グループ間での発表・意見交換を行いました。
1.サプライチェーン/SCMにおけるDX(A・Bグループ)
2.倉庫におけるDX(C・Dグループ)
3.輸配送におけるDX(Eグループ)
各グループにおける討議の概略
討議対象:サプライチェーン/SCMにおけるDX
- DX推進の阻害要因として「DX推進の土台となる組織力の不足」と「データがあるのに活用できないこと」を列挙。
- 組織力向上のための施策として、「DX推進に必要な力」と「組織における階層」の2軸からなるスキル要件を定義。
- データ活用に向けたステップとして「データの重要性の理解」「データ取得方法の検討」「取得したデータの活用方法の検討」の3つに分け、各ステップで必要となる要素を整理。
- 物流事業者がこれまでの役割を超えて求められることとして、「サプライチェーン全体での情報連携を通じて最適化可能な状態を作り上げること」を提案。
- 中小・零細企業が多くを占める物流事業者が「求められること」を果たすための手段として、共通プラットフォームを通じてリソースや情報を共有しあう「共同組合化」を提案。
- 上記の共通プラットフォームに求められる要件について、現状の問題、プラットフォーム利用者に提供すべきメリット等の観点から検討。
討議対象:倉庫におけるDX
- 倉庫におけるDXの阻害要因として、「目標設定の曖昧さ」や「費用対効果の不明確さ」等を列挙。
- 倉庫DXのあるべき姿として「費用の最小化や属人化の低減による高い持続可能性の実現」を挙げ、この実現のために必要な機能と、機能導入における課題を検討。
- 総括として、倉庫におけるDXの普及に向け、提言の形で取りまとめを実施。
- 倉庫にまつわる経営層の矛盾と、現場における矛盾を整理。
- この整理から、倉庫DXを阻害する壁として「投資対効果の提示の難しさ」「現状維持バイアスの存在」「業界構造」「倉庫特性」の4つを列挙。
- 倉庫DXを阻害する上記の壁を乗り越えるための必要な観点を検討。
討議対象:輸配送におけるDX
- 「デジタル化」と「DX」の違いを再確認。
- 「物流DX導入事例集」(国土交通省)に記載の事例をマッピングし、省人化を目的とした事例がほとんどであること、企業単位の取り組みに留まる事例が多いことを確認。
- 輸配送における本質的な問題解決のためには、DXを通じた「企業間連携の促進」「省人化に留まらないサービス向上の推進」が必要であることを提案。
集中討議当日の様子
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集中討議全体を通じて得た「気付き」、
「有益」だと感じたこと(事後アンケートから)
『視点や立場の異なる方々が一同に会すことでそれぞれの考え方が明らかになり、自社固有の課題として捉えるのではなく、業種・業界をまたいで協力し、最適解を求めることが必要であるという視点を得られたことが有益だと感じました。』
『「DXの本質とは何か?」というテーマについて、各グループが自分の意見・課題をもとに討議し方向性を見つけたことは、きれいに「まとめること」以上に有意義であったと感じています。』
ロジスティクス研究会概要・参加メンバー
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■2023年度参加メンバー企業一覧:30社33名(社名50音順/2023年12月31日現在)
アイ・グリッド・ソリューションズ、アセットソリューション、アビームコンサルティング、
イチネンロジスティクス、インターシステムズジャパン、エコネクト物流、
SBSリコーロジスティクス、カリモク家具、紀文フレッシュシステム、
キリングループロジスティクス、コヒーレント・コンサルティング、
ジョーンズラングラサール、シンフォニアテクノロジー、西濃運輸、大成建設、テルモ、
デロイト トーマツ コンサルティング、東京シティサービス、東芝デジタルソリューションズ、
トラフィックレンタリース、日本貨物鉄道、ハンナ、ピー・アイ物流企画、日野自動車、
ベネッセコーポレーション、ホンダ運送、マップボックス・ジャパン、もりや産業、
Rapyuta Robotics