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「ロジスティクス強調月間2024」サポーターからの提案―パクテラ・テクノロジー・ジャパン株式会社

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複雑化する物流の課題解決へ新たなチャレンジ 豊富な経験と人材活かし、未来へと歩を進める

パクテラ・テクノロジー・ジャパン株式会社は、同じくパクテラグループであるパクテラ・コンサルティング・ジャパン株式会社とともに、今年度から新規事業として物流業界の課題解決に取り組む企業です。チームを牽引する周武憲氏(グローバル・ビジネス・ディベロップメント 事業部長)、太田宗雄氏(同部マネージャー)、岩佐直樹氏(ストラテジー&トランスフォーメーション事業部マネージャー)に、業界の課題やそれらに対するソリューションなどについてお話を伺いました。

パクテラグループ
アジア太平洋地域でビジネス/ITコンサルティング、ソリューション、アウトソーシングサービスを提供する、中国発のグローバルファーム。日本ではパクテラ・テクノロジー・ジャパンとパクテラ・コンサルティング・ジャパンの2社が一体となり、お客様の課題解決をサポートしている。

グローバル・ビジネス・ディベロップメント事業部長 周 武憲 氏
SEとしてシステム開発に携わった後、コンサルティング職に転身。新規事業立ち上げにも数多く携わっており、チームリーダーとして物流業界への取り組みを進める。

グローバル・ビジネス・ディベロップメント事業部マネージャー 太田 宗雄 氏
物流企業のグループ会社や荷主企業の物流部門、3PL企業など、約30年間にわたって物流の現場を経験。現在はコンサルティングの立場から業界変革をサポートする。

ストラテジー&トランスフォーメーション事業部マネージャー 岩佐 直樹 氏
IT中心のコンサルティングや事業立上などを経験した後、パクテラへ入社。パクテラにおける部署立ち上げは2つめで、流通や小売、ヘルスケアなど幅広い経験を活かし、お客様の課題を解決する。

課題が山積みの物流業界はまさに今が変革の時

――御社の特徴についてご紹介いただけますか。

 パクテラは世界で計4万人以上の従業員を擁する中国発のITソリューションカンパニーで、アジア太平洋地域でビジネス・ITコンサルティング、ソリューションなどのサービスを提供しています。日本法人としては2002年にパクテラ・テクノロジー・ジャパン(以下、PTJ)が、その後事業拡大に伴い2015年にパクテラ・コンサルティング・ジャパン(以下、PCJ)が設立され、現在は2社で計約500名の社員が活動しています。

PCJでは主に現場の課題改善や、システムのグランドデザインなどをお手伝いしており、PTJはテクノロジー集団として、主にITやDXの具体的な開発、プログラミング、テストまでを担っています。実際のプロジェクトでは両社がそれぞれの強みを活かしながら一体となって取り組んでいるのも特徴です。今年度からグローバル・ビジネス・ディベロップメント事業部を新設し、物流業界のお客様の課題を解決する取り組みをスタートしています。

――ロジスティクスの課題はどのような点にあると考えているのでしょうか。

 物流は現代社会に不可欠なインフラですが、社会の変化に伴って多くの課題に直面しており、まさに今、変革を求められていると考えています。ドライバーや倉庫スタッフの人材確保が困難になる一方、サプライチェーンは複雑化し、中国の越境ECを含めた市場のさらなる拡大や、多品種小ロットでの対応増などで、より柔軟な配送が求められています。人件費や燃料費などコストも上昇し、企業経営にとって厳しい状況です。このままではオペレーションの維持が難しくなるでしょう。

これらの課題の改善にはテクノロジーの導入が大きな効果を発揮します。特にクラウド化はカギとなりそうです。しかし、ここにも大きな課題があります。AIやIoT、ロボティクスなど様々な先端技術がありますが、これらには多額の投資が必要です。初期コストに加え、継続的なメンテナンスやアップグレードの費用もかさみますし、専門的な技術者の維持・採用・育成はお金だけでは解決できません。システム導入時にはスタッフ向けのトレーニングやサポート体制も必要です。何より、実際に投資を決定してから効果が出るまでに長い期間を要するため、それまで体力が持つのかという課題もあります。しかも、業界全体での標準化やデータ共有が難しい状況にあり、連携には多くの時間が必要です。特に運送会社で未だにアナログ業務が多いのも改善の必要があるでしょう。

――それらの課題に対してどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。

 当社では、様々な業界でコンサルティングとテクノロジーによる大規模プロジェクトを手がけてきた実績がありますので、こうしたニーズにはかなりマッチすると考えています。


周氏

当社のコンサルティングは、お客様の課題を徹底的に分析し、本当に実施するための具体的な解決策を提示していくのが特徴です。課題の見つけ方には「現状分析からの課題の特定」と「未来を見据えた課題の特定」の2つの観点があり、どちらが適しているかお客様と対話しながら決定していきます。

また、テクノロジーの面でも大きな強みを持っています。倉庫や配送の管理システム、AIによる画像認識システム、ECサイト構築、ERP導入、データ分析など開発経験は多岐にわたりますし、グループ全体で約4万人と人材も豊富で、お客様のご要望に合わせたシステム開発が可能です。海外拠点からの24時間365日の保守サービスなど、必要なサポートも全て網羅しています。これらを活用することで、課題解決の一助にしていただけるはずです。物流は今年度からの新規事業ですが、昨年から調査やヒアリングに着手しており、すでにいくつかのプロジェクトが進行しています。

他業界の豊富な経験を横展開し課題解決を支援

――2種類の課題の解決手法について、もう少し詳しく教えてください。

太田 「現状分析からの課題の特定」は、当社の強みである現場の視点とデータ分析を組み合わせ、お客様の競争力を高めるコンサルティングを目指しています。まず定量分析でお客様の在庫精度や輸送コスト、リードタイムなどのKPIを取得して現状を把握し、利益率や倉庫のオペレーション効率、在庫回転率などを見ながら改善ポイントを探していきます。また、詳細な追加分析、現地視察、関係者へのインタビューなどにより業務フローなどの現状も確認し、得られたデータや情報から具体的な課題を明確にしていきます。その後、複数の改善方法を比較しながら検討し、お客様のビジネスの目線やニーズに応じて一番フィットするものをご提案しています。


太田氏

また、実装のためのオペレーション支援として、業務手順の見直しや重複作業の排除など、プロセスの標準化や再設計を行う一般的な物流業務の改善、3PLへのアウトソーシングを活用した場合のコスト削減や物流品質向上の効果の試算、3PLを利用中のお客様に対する業務内容確認や契約条件見直しなどのサポートも行っています。

岩佐 「未来を見据えた課題の特定」は、先ほども触れたように、着手からローンチまでが長期化するため投資判断が難しくなる、という課題を解消するためのアプローチです。そのために当社では「将来、人々はどのような暮らしをしているのか」「社会や技術はどのように進化しているか」などについて、日頃からスタッフ間で検討・共有しています。これは、ずっと先の未来を妄想するのではなく、5 ~ 10年くらい先、今であれば2030年代くらいの「実際に訪れる可能性の高い未来」を具体的に想定するものです。その未来図と現状とのギャップを洗い出し、そこを埋めるために何をしていくべきかを、お客様の経営方針やビジネス戦略と照らし合わせながら計画・実行していきます。こうすることで将来の技術革新に向けて現実的な一歩を踏み出し、未来においての競争力を高めることにつながります。


岩佐氏

例として、通信規格の進化について考えてみましょう。数年前から5Gが一般化していますが、Beyond5Gや6Gと呼ばれる次世代規格も開発が進められており、2030年代を目途にさらなる大容量化や低遅延化が実現すると見られています。そうなれば、どこにいても現地にいるのと同じように働くことができるようになるはずです。今後、物流業界で倉庫内業務やトラック運転のロボット化・自動化が進んでも人の判断が必要な作業は残ります。その世界において、国内外問わず遠隔操作で倉庫を管理するようになるかもしれない。そのような未来を見据えて、運転席を倉庫内の別の場所に設置するなど少し離れた場所での遠隔運用を開始し、技術や運用の面でどのような課題があるかなどを今から改善・調整していけば、新しい時代へスムーズに移行できるのではないでしょうか。

――具体的な改善事例などあればご紹介いただけますか。

太田 スーパーマーケットを多店舗展開しているお客様で、積載率を向上させて利益率を改善した事例をご紹介します。当社の調査により、10トン、8トン、4トンと多彩な車両が使われている点と、1日3便ある配送ゾーンのうち2便目と3便目で積載率が下がっている点の、2点が課題として明らかになったのです。そこで配送ルートを見直したほか、荷量に応じた車両の適用、着店時間優先だった配送スケジュールの調整などを実施しました。

さらに、3カ月間の継続調査で課題の再抽出を行い、追加施策も実行しました。まず、積み込みが上手いスタッフのノウハウを共有する「積み方マニュアル」の作成・配付です。次に、トラック出発前の「積み込みチェック要員」を配置し、積載率に対するスタッフ全員の意識を高めました。そして、生鮮品を除いた積み残し分の次便への後ろ倒しも実行。最終の3便で残った荷物を翌日に回すことで追加便を手配する必要がなくなり、積載率がさらに向上しました。

現場から「変える」意識で一歩ずつ確実に未来へ

――今回「ロジスティクス強調月間2024」のサポーターに参画いただいた経緯をお聞かせください。

 物流業界へのアプローチはグループ内でもかなり優先度が高く、強い意気込みで臨んでいます。当社はこれまで研究開発や生産まわりのお客様とともに多くのノウハウを築きあげてきました。今後は、ロジスティクス部門の方々とのコミュニケーションも増やしていきたいと考えています。そこで、日本ロジスティクスシステム協会を通じて様々な方とコンタクトを取っていければと、今年春に入会した経緯があります。サポーターについても、業界に少しでも積極的に関わっていけたらと参加を決めました。

――物流業界の今後に向けて必要となる「変革の意識」は何でしょうか。

岩佐 荒唐無稽な未来を妄想するだけでは、課題解決に至るのはなかなか難しいものです。それよりも、実現しそうな未来に向けて一歩ずつ確実に進んでいくのがよいのではないでしょうか。できればそこへ、スパイスとしてドキドキやワクワクを少し加えられたら、より良くなると考えています。

太田 組織の末端から改革を推進していく必要があるでしょう。アナログなやり方が残っていても、あまり変えたがらない職人肌の現場スタッフは多いからです。しかし、新しいものを積極的に取り入れていかなければ、もう立ち行かなくなっています。経営者やマネージャー層だけでなく、何よりも現場の方々が「使う」「変えていく」という気持ちで、トライアンドエラーを繰り返すことが大切です。

 変えなくてもやっていける仕事もあるでしょうが、変えることで例えばワークライフバランスが整うなど、確実に状況は改善します。「新しいことが良い結果につながる」とシンプルに理解していただけるよう、今後も取り組んでいきたいと考えています。

(2024/10/23掲載)

本インタビューは機関誌「ロジスティクスシステム」2024年秋号(10/28発行)に掲載予定です。

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