資格取得者の声

入社23年目の物流部門配属。基礎から学んで自社の見え方が変わった

「ロジスティクスやSCMが会社の経営全体につながっていることを深く理解しました」と話す月桂冠株式会社の髙本一啓氏。当協会の「ロジスティクス基礎講座」を受講して得た学びについてお話を伺いました。

月桂冠株式会社
物流部 物流課 主査 髙本 一啓 氏

ロジスティクス基礎講座受講者インタビュー

第93期(2026年6月~7月)受講受講

月桂冠株式会社 物流部 物流課 主査 髙本 一啓 氏

※所属・役職は取材当時のものです。

月桂冠株式会社

1637年(寛永14年)創業。380年以上にわたり日本の酒文化と共に歩んできた、京都伏見で最古の酒蔵。明治時代には日本酒メーカー初の研究所を創設し、醸造技術に革新をもたらす。近年ではトラックなどの自動車による幹線貨物の輸送から、大量輸送が可能な船舶による海上輸送や鉄道輸送への転換を積極的に推進し、環境負荷の低減や物流の適正化に積極的に取り組んでいる。2020年には「海運モーダルシフト大賞」を受賞(物流事業者の日本通運株式会社と共同での受賞)。

入社23年目で初めて物流部門へ
受講で基礎を幅広く学ぶ

――どのようなお仕事をされているのでしょうか。

今年4月に物流部物流課の所属となり、生産計画や需給調整の業務に従事しています。私が担当している商品は、びん入りのものを中心に50アイテム近く。月に一度しか生産できない商品も多いため、機会を逸すると次回の出荷は1カ月以上先になってしまいます。欠品やロスを生じさせないよう、現在の在庫状況や、前年の実績、特殊要因の有無などを加味し、時には担当営業からの聞き取りも行いながらアイテムごとに需要を予測して、生産部門に指示するのが仕事の中心です。

今年で入社23年目。営業職に15年ほど携わった後、マーケティング、営業管理、再び営業職、資材原料調達の業務を経て、この4月から現職となりました。「営業一筋」という社員も多い中、私はとても幅広い業務を経験させてもらっています。

――「ロジスティクス基礎講座」受講のきっかけは?

当社物流部では、初めて配属された者は「ロジスティクス基礎講座」の受講が慣例となっています。4月1日に配属されたその週に、6月からの講座を受講するよう伝えられました。物流部には私がいる生産計画・需給調整のチームのほかに、輸配送のチームもあるのですが、そちらからも新規配属の2名が同時に受講しました。

配属当初は、物流やロジスティクスの知識がほとんどないと言ってよい状態でした。当社の出荷方法についても、工場から直接出荷する商品もあれば、各地の在庫拠点(DC)に在庫を配備し、受注に応じて出荷する商品もあることを、物流部に来て初めて認識したくらいです。

そのため、担当する在庫計画に関する知見はもちろんのこと、ロジスティクス全般の基礎知識を根底から学べるというのは願ってもないことでした。講座のパンフレットを見ても、前年の受講企業の一覧には誰もが知る企業の名前がずらりと並んでおり、そうした企業の方々も受講するほど充実した内容なのだろうという期待もありました。

工場に隣接する本社物流センター
工場に隣接する本社物流センター

――実際に受講してみていかがでしたか。

事前の期待どおり、ロジスティクス全般にわたる基礎知識を幅広く学べたことは、とても有意義でした。私のような物流初心者でも理解できるよう、講師の方々がとてもわかりやすく講義してくださったおかげです。特に、自身の担当業務に関わりの深い「在庫計画」の話が印象に残っています。また、SCM全般に関する話題を貸借対照表と紐づけて解説していただいたことで、ロジスティクスやSCMが会社の経営全体に直結していることを深く理解しました。

受講修了からまだ間がないため、学んだことが業務に役立っていると感じるのはこれからですが、受講を通じて輸配送チームの役割や生産・在庫計画とのつながりを捉え直せたと感じています。

それと、自身の業務とは少し離れますが、私は乗り物や空港が好きなんです。そういう点では、トラック、飛行機、貨物列車、船、空港など、様々な輸送モードに関する話題を詳しく説明してくださった回もとても楽しく聞きました。大まかなイメージはありましたが、モードによるコストの差や料金体系の種類など、ビジネス上の細かい仕組みまで知ることができたのも収穫の一つです。

 トラック、飛行機、貨物列車、船、空港など、様々な輸送モードに関する資料

在庫の動きを知り見えてきた
サプライチェーンのつながり

――他に印象に残っている内容はありますか。

需要予測の振れ幅がサプライチェーンをさかのぼるほど拡大していく「ブルウィップ効果」は、なるほどと思わされた項目でした。確かに、自社に当てはめてみるとその意味合いがよくわかります。営業担当はお客様のニーズに臨機応変に対応するため、なるべく多く在庫を確保してほしいと考えます。また、DCの在庫計画を担当している輸配送のチームでは、一部地域を除いて当社が基本としている「翌営業日出荷・翌々営業日納品」を堅持できるよう、DC在庫に余裕をもたせておきたいはずです。しかし、全体の需要を見誤ってしまうと、過剰な在庫を抱えたり、逆に欠品したりという事態が起こりかねません。工場からDCへの輸送も、ある程度まとまった数量でなければ非効率になってしまうでしょう。このような、部署ごとの役割や思惑の違いで需要にブレが生じると知り、バランスのよい在庫計画を目指すには様々な視点から考えなければいけないことを学びました。

営業を担当していたときは、お客様から注文をいただくまでが仕事でしたが、物流部の役割はそこから先の部分。以前はそれほど意識していなかった、注文商品を指定の期日までにお届けするための様々な段階が具体的に見えてきたと感じます。段階ごとに生じるギャップを解消するための、輸配送のチームとの連携強化や営業部門への情報発信など、今後取り組みたいことも明確になりました。

「ブルウィップ効果」に感心した月桂冠株式会社 髙本 一啓 氏

――課題のレポートではどのようなテーマを取り上げたのでしょうか。

自分の担当業務である「在庫」の考え方に関する理解を深められたこと、担当業務外ではあるものの、同じ物流課の別チームが担当する「輸配送」に関して基礎知識を得られたことをレポートに書きました。

また、食品・酒類業界特有の納品期限に関する商習慣、いわゆる「3分の1ルール」にマッチするよう、講座で学んだ内容を生産計画にアレンジしていきたいことも記載しました。一部では緩和の動きがあるものの、実際にはまだこの商習慣が続いているところも多く、期限を過ぎた商品は廃棄せざるをえないなど、メーカーが頭を悩ませているテーマです。経験則だけに頼らず、講座で学んだ算出方法などを活用しながら、そのルール内で確実に出荷できる適正在庫数を導き出せるよう予測のフォーマットを整備していけたらいいですね。

講義終了後にレポートを書くことで、学んだ内容を振り返る機会にもなりました。

物流業務の魅力を実感
多彩な経験活かして貢献へ

――受講を検討している方へアドバイスがあればお聞かせください。

物流部門やロジスティクス部門に配属されて日が浅い方にちょうどよい講座だと思います。私もロジスティクスの知識がまったくない状態で受講し、ロジスティクス全体の基礎知識を幅広く学べたことが有意義でした。

また、ある程度キャリアを積んだ営業職の方が受講すると、視野を広げるよい機会になるのではないでしょうか。私自身、営業を担当していた頃はお客様のほうばかりに意識が向きがちでした。もちろん、それが業務の中心なのですが、在庫の流れや輸配送の仕組み、そこにかかるコスト、需要と生産計画のバランスなど、サプライチェーン全体に関する一定の知識があると、お客様への提案やコミュニケーションも少し違ってくると思います。

――今後、髙本様が目指していきたいものは?

物流部に来てまだ半年ほど。初めての体験ばかりですが、少しずつ商品ごとの生産計画や動き方の特性がつかめてきました。まずは、自身の担当業務である生産計画と需給調整について、講座で学んだ理論や計算方法なども活用し、時折テキストを見返したりしながら、計画の精度を最大限に高めていきたいと考えています。

現在、在庫計画の業務と並行して、社内のSCMプロジェクトにも参加しています。これは、資材調達、醸造、物流、商品企画など、生産から出荷までの各部署の担当者が集まり、お互いの課題感を共有しながら会社全体で対応していくための具体策を話し合う場です。講座で身につけた知識と、様々な部署で培った経験を活かして、プロジェクトにも貢献していきたいです。

「注文したものが期日にお客様のもとへ届くのが当たり前」という日々を支えるのは、プレッシャーを感じる部分もあります。しかし一方で、会社全体の経営にも大きく関わる物流部門のダイナミックさや、奥深さなども少しずつ感じられるようになってきました。先のことはまだわかりませんが、物流部での経験を重ね、脂がのってきたら次のステップとして「物流技術管理士資格認定講座」を受講したいですね。

講座で身につけた知識と、様々な部署で培った経験を活かして、プロジェクトにも貢献していきたいと語る月桂冠株式会社 髙本 一啓 氏

※取材は2026年9月4日に行われました。


講座の詳細は、資格認定講座の一覧よりご覧ください。

2026.10.06 ロジスティクス基礎講座受講者インタビュー