JILSニュース
2025.08.13 活動報告

サプライチェーン管理のDXプロジェクト/日本と海外の物流はどう違うか─ロジスティクス研究会7月会合報告

ロジスティクス研究会では2025年度第3回会合を 7月15日(火)に実施しました。
会合では研究会メンバーの取り組みについてご発表をいただき、発表内容についてディスカッションを実施しました。

 

発表①:三菱ふそうにおける物流DXの取り組み サプライチェーンコントロールタワー

発表企業

三菱ふそうトラック・バス(株)

発表のポイント

  • サプライチェーンコントロールタワー(SCCT)とは
    ・部品納入物流の管理業務をDXによってサポートするプロジェクト
    ・様々なデジタルツールの開発・導入により、車両製造部品の納入物流で発生するあらゆる問題の解決に必要な情報の統合・集約化を目指す
    ・まずは、海外からの輸入部品の納入における在庫削減や輸送リードタイム最適化等に取り組む
  • サプライチェーン管理のデジタル化に向けた3つの施策
    ・データ一元管理:業務システムや社外データを一元管理するプラットフォームを構築することにより、柔軟なデータ活用とアプリ設計が可能に
    ・社内人材によるアジャイル開発:業務部門おけるプロトタイプ開発を経てIT部門で本番開発を進めた部品発注量最適化システムの導入により、年間数億円のコスト削減を実現
    ・外部知見の活用:社内にはない専門性を持ったIT企業等の外部の知見を活用することにより、コンテナ船のETAデータの自動取得を実現

参加者のコメント

  • 『明確な成果がでている素晴らしい取り組みであったと思います。開発手法として斬新かつ、柔軟なアジャイル方式が非常に参考になりました。』
  • 『自社に技術者を配置することによりプロトタイプ開発をされているチームや組織の体制が興味深かったです。』

発表②:海外勤務中に感じた日本と任地(海外)の物流の相違点

発表企業

岡崎通運(株) ※ご発表内容は前職でのご経験が中心

発表のポイント

  • 1990年前後のイギリス・ロンドン
    東欧出身の方を中心とした外国人ドライバーの活躍、全世界への拠点展開、通年採用の普及、女性や外国人の管理職の活躍 等
  • 2000年前後のシンガポール
    物流を国の基幹産業とする戦略、輸出入システムの簡素化、パソコン対応の業務ソフトの早期普及、外国人労働者の活躍 等
  • 2015年前後のアメリカ・シカゴ
    不動産会社による物流センターの開発、全米トラック運転手労働組合の存在、ドライバーの人件費高騰、ドローン配達や置き配の進展 等
  • 2020年前後のインドネシア・ジャカルタ
    外国人ドライバー不在(自国出身のドライバーのみ)、手積み・手降し中心、非効率な運行手配、過積載の状態化 等
  • 現職(岡崎通運)における今後の課題
    ・特定技能外国人ドライバー採用スキームの確立(マナー・ルールの教育、母国語を話す管理者の育成)
    ・海外事業展開の推進

参加者のコメント

  • 『海外勤務中に目の当たりにした光景について、その時々の時代背景を含めてご発表いただけたことは、とても参考になりました。』
  • 『外国人労働者を雇うために、福利厚生や教育のほか、母国語でコミュニケーションができる環境整備を行うことは新しいアイデアであると感じました。』

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