2025.06.26
物流現場改善
2025年度「物流改善賞」が決定!
日本ロジスティクスシステム協会は、6月25日に物流改善賞の受賞事例を発表しました。物流改善賞は、第39回全日本物流改善事例大会で発表された42件の優秀事例のなかで、極めて優れた取り組みに贈られます。
大会終了後、実行委員による厳正なる審査・選考を行い、2025年度の最優秀物流改善賞2件、優秀物流改善賞5件、実行委員特別賞1件が決定しました。
第39回全日本物流改善事例大会は、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会と一般社団法人日本物流資格士会の共催のもと、2025年5月13日・5月14日の2日間、東京都・千代田区・御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにおいて、延べ376名の参加者を得て開催しました。
最優秀物流改善賞(2件)
【物流業務部門】
- 受賞企業:株式会社ミスミ
- 受賞事例:画像・計量DPC(デジタルピッキングカート)の導入・拡大による品質・効率向上
- 事例概要:40万点超の在庫品ラインナップ、250名超のピッキング作業員が従事する中で如何にヒトとモノをより良く繋ぎ、センター使命である「確実短納期の遵守」を遂行していくか。デジタルを活用したセンターオペレーションの抜本的見直しにより過去最大成果(40名超の削減)の創出に至った。
【物流管理部門】
- 受賞企業:ロジスティード株式会社
- 受賞事例:IoT×AIテクノロジーでドライバーの体調と運行を見える化し、ヒヤリハットを削減
- 事例概要:運輸業界ではドライバーの心身の健康状態に起因する事故が増加しており、同社でも複数件発生していた。そのため、ドライバーの健康や疲労状態、危険運転をリアルタイムに把握できるソリューションを産学官の連携で研究開発し、全社に導入。重大事故につながるヒヤリハットを94%削減した。
優秀物流改善賞(5件)
【物流業務部門】
- 受賞企業:株式会社アイシン・ロジテクサービス
- 受賞事例:歩行低減レイアウト導入による空箱仕分け工程の少人化
- 事例概要:同社物流センターでは日あたり約6万箱の組立部品の通箱を17人/直稼働の作業者で仕入先単位に仕分けを実施している。限られた狭いエリアで種まき形式で作業しているため、歩行距離や作業動線に懸念があったがコンベヤを活用した歩行低減レイアウトの採用でバッティングレスの動線と6人/日の少人化を実現した。
【物流管理部門】
- 受賞企業:サッポログループ物流株式会社
- 受賞事例:サステナブルな物流改革による効率化と運用体制の構築
- 事例概要:同社の京葉物流センターは2024年問題に直面し、拠点の分散により運営効率・輸送効率が低下、また庫内動線の複雑化で作業効率が悪化していた。そこで、拠点の集約化を経て業務プロセスを見直し、ボトルネック工程の能力向上および動線のムダを排除した。作業負担軽減のため、多様な従業員が働きやすい環境作りを進めた。
- 受賞企業:資生堂ジャパン株式会社
- 受賞事例:物流効率の改善:取引先への納品における1梱包あたりの商品入数拡大に向けた取り組み
- 事例概要:売上の低迷に伴い悪化した取引先への納品1梱当たりの入数改善に向け、取引先の協力を得ながら改善活動を実施。まとめ発注を頂くなどの施策により、24年度は主要対象顧客企業で22年度比4割強、全体でも1割強の入数向上を達成。これにより配送効率が向上し、物流課題の解消にも寄与した。
- 受賞企業:資生堂ジャパン株式会社
- 受賞事例:DXで物流・店舗双方の生産性改善~店頭検品・伝票電子化アプリKakehashi~
- 事例概要:顧客店舗への配送において、店舗別の紙伝票を同梱しているが、その発行と仕分け作業は大きな負荷である。一方、紙伝票は店頭での検品に使用されるが、目視確認のため効率が悪い。伝票をスマホで閲覧可能なアプリを開発、提供する事で、店頭検品の作業効率を高めると共に、紙伝票の発行を低減させるDX改善を実施した。
- 受賞企業:北海道ロジサービス株式会社
- 受賞事例:ロボット×AI×現場力 ~革新的シッパー自動組立システムによる作業効率と働き方改革~
- 事例概要:冷凍倉庫新設に伴い保冷シッパー組立て作業負荷が増大、作業者の負担軽減が急務に。ロボットメーカーと協働し、多関節ロボットと画像認識技術で自動化システムを開発。試行錯誤の末、組立て精度・速度を向上させ、目標の680箱/時を達成。3人分の省人化と作業負荷1/4を実現、配送費・ドライアイス削減効果にも寄与した。
実行委員特別賞(1件)
【物流業務部門】
- 受賞企業:東京理科大学
- 受賞事例:心拍を用いたピッカーの身体的・精神的負荷の推定~倉庫作業でのワークエンゲージメント向上を目指して~
- 事例概要:物流倉庫では様々なロボットが活躍している。現場見学を通して、学生達から「ロボット導入前よりもピッカーの身体的・精神的負荷が増加しているのでは」といった声が上がったことをきっかけに活動を開始した。学生たちの考える理想の職場設計を目指し、作業負荷抑制によるワークエンゲージメント向上に挑戦した。
※実行委員特別賞は、過去10年間において初めて優秀(発表)事例に選出された企業・団体のうち、特に優れた事例について授与するもの。
表彰式の実施
物流改善賞の表彰式は、6月25日に東京プリンスホテルで開催された日本ロジスティクスシステム協会の総会に併せて行われました。協会会長の大橋徹二(コマツ 特別顧問)より、受賞企業の代表者に表彰状と賞金が授与されました。
受賞事例の詳細
2025年度物流改善賞の受賞事例の詳細は、機関誌「ロジスティクスシステム」夏号(7/25発行)に掲載予定です。機関誌での掲載後、JILS会員の方は会員ライブラリよりオンラインでも閲覧いただけます。(会員ライブラリには2025年12月掲載予定)