「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」調査結果の公表
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)では「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」を実施しました。本調査は、2024年4月以降に起きた「物流の2024年問題」に関する懸念事項が現実化しているか実態を調査することで、様々な影響や課題等を把握することを目的としています。このたび、調査結果を公表しました。
「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」調査結果レポート
調査結果の全体概況
2024年度の営業用貨物自動車を使った輸送状況
・製造業・流通業では引き続き運べている傾向が見られる一方で、物流業では運びにくくなった傾向が強く、業種による差異が見られる。
・地域内輸送では、製造業・物流業の約半数が運びにくくなった、または運べなくなった地域があると回答しており、特に関東が最も深刻で、近畿、中国、九州も上位に挙げられる。
・地域間輸送では、物流業の約半数が運びにくくなったまたは運べなくなった区間があると回答しており、発地では関東、近畿、北陸信越、中部が、着地では近畿、中国、九州、中部が上位を占める。特に着地では西日本に課題が多いことが推測される。
・運びにくくなったまたは運べなくなった時期は2024年10月以降に集中しており、特に2024年12月が深刻である。
2024年問題への対応状況
・ドライバーの滞在時間・荷待ち時間は現状維持から短縮傾向にあり、ドライバーの待機時間を意識した取り組みが進んでいることがうかがえる。
・ロードファクター及び積載率も現状維持から拡大傾向にあり、特に製造業・流通業では約3割の事業者が積載率が大きくなっていると回答している。
他の輸送モードの輸送量の増減
・鉄道輸送及び内航船舶輸送では、製造業で現在利用している事業者のうち約4割が輸送量が大きくなっていると回答している。一方、国内航空輸送は全業種で現状維持の傾向にある。
物流統括責任者の役職(職位)
・未定が最も多く、検討中であることがうかがえる。未定を除くと、製造業では「執行役員」、流通業では「役員」の回答率が高い。
このように、2024年度の輸送状況には地域や業種による差異が見られ、特に物流業においては運びにくくなった傾向が強くなっている。
調査の実施概要
目的
2024年4月以降に起きた「物流の2024年問題」に関する懸念事項が現実化しているか実態を調査することで、様々な影響や課題等を把握する。
調査期間
2025年3月7日(金)~13日(木)
調査方法
インターネット調査
・物流企業向け(全問34 ※一部回答対象業種を指定した設問あり)
・荷主企業向け(全問42 ※一部回答対象業種を指定した設問あり)
調査対象
JILSメールマガジンに登録している発着荷主(製造業、流通業)、物流事業者の方に対してアンケート回答を依頼
回答者数
189名
調査結果の詳細は、調査結果レポートをご参照ください。
調査の背景
2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制や改正改善基準告示が適用されたことなどに起因して、輸送能力不足など様々な問題が発生することが懸念されていました。
当協会では、2024年迎え、貨物が「運べているのか」「運べていないのか」「運べなくなりそうなのか」について調査、分析を行い、「物流の2024年問題」に関する懸念事項が現実化しているかどうか、また様々な影響、課題等を把握すべく、「物流2024年問題の影響と現状に係る実態調査」を実施しました。
問い合わせ
日本ロジスティクスシステム協会
JILS総合研究所 担当:角新・松井・三谷
E-mail:souken@logistics.or.jp