2025年度物流コスト調査結果(速報値)の公表~売上高物流コスト比率は5.36%~
公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(以下、JILS)では、通商産業省(現 経済産業省)の『物流コスト算定活用マニュアル』に準拠して物流コストの実態把握を行うとともに、文献調査や国際比較など、多面的な調査により日本の物流コストに関する総合的な基礎データを蓄積することを目的として物流コスト調査を毎年実施しています。
このたび、2025年度に実施した調査につきまして、9月末の締切時点までに頂いた回答を取りまとめ、速報版として公開いたします。
調査結果の概要
2025年度調査(有効回答196社)における売上高物流コスト比率(全業種平均・速報値)は5.36%となり、過去20年間で3番目に高い水準を記録した¹。物流事業者からの値上げ要請などを背景に、売上高物流コスト比率は長期的な上昇傾向にある。
同一サンプルによる前年度比較が可能な2年連続回答企業(130社)を分析したところ、売上高物流コスト比率は5.75%となり、前年度比0.03ポイントの微増となった。さらに、物流コストなどの指数の動向を分析したところ、2024年物流単価・販売単価ともに上昇しているが、物流コスト単価の伸びが販売単価を上回り、売上高物流コスト比率の上昇につながったことが確認された。
物流コスト機能別に見ると、特に輸送費の上昇が顕著であり、回答177社のうち88.1%の企業で輸送費単価が増加した。横ばいは9.1%、減少はわずか2.8%にとどまっている。
荷主企業73社の自由回答を分析した結果、物流コスト上昇については、「物流の2024年問題」を背景とした人件費上昇を最大の要因としつつ、インフレによる諸経費高騰や法令遵守への対応コストが複合的に影響している実態が明らかになった。
こうした物流コスト上昇に対し、荷主企業は輸配送費削減を主軸とした物流施策を展開している。物流ネットワークの見直しやサプライチェーン全体の効率化、さらには現場の生産性向上や人材マネジメントなどが進められている。新物流効率化法(物流の持続的な成長を図るため物流効率化法)で定められる「荷待ち・荷役等時間の短縮」と「トラックの積載効率の向上」といった努力義務への対応策としては、現状把握を起点にDX・システム導入、パレット化や標準化の推進といった施策が進められている。
今後、調査内容を精査し、確定値を2026年4月に公表の予定となっている。
¹ 2025年度物流コスト調査の対象は、主として回答企業の2024年度における実績値である。
報告書(速報版)のダウンロード
2025年度物流コスト調査アンケートご協力のお願い
2025年9月30日までの期限にて、200社以上のご回答をいただきました。日本の物流コストの詳細な把握のために、さらなるご回答が必要と考え、この度、回答期限を2025年11月28日(金)まで延長いたしましたので、是非、ご参加を検討ください。調査への回答方法についてはこちらページをご参照ください。
本報告書の詳細版は、有名書店※・政府刊行物センター等で販売。(2026年4月刊行予定)。
※amazon、紀伊国屋、ジュンク堂、丸善等。ただし一部店舗を除く。