資格取得者の声

全体を俯瞰する考えは大きな収穫 「顧客志向」で学びを実践の場へ

「講座で得た『技』を実践の場やお客様への提案に活かして、自分の武器として発展させたい」と話す日本通運株式会社の新井沙依子氏に、当協会の「物流技術管理士資格認定講座」受講の成果をお聞きしました。

日本通運株式会社
関西アカウントセールス部 係長 新井 沙依子 氏

物流技術管理士資格認定講座

第154期(2024年7月~2025年1月)受講受講

日本通運株式会社 関西アカウントセールス部 係長 新井 沙依子 氏

※所属・役職は取材当時のものです。

日本通運株式会社

1937年、複数の民間輸送業者を統合した全国規模の陸上輸送会社を前身として設立。日本経済の発展と軌を一にして事業を拡大・発展し、オリンピックや万博、サッカーW杯などの大型イベントに関する輸送も手がける。現在ではNXグループの中核会社として、世界56の国・地域、2,900以上の拠点で、航空、船舶、鉄道、トラック、倉庫、ITを駆使した高品質でサステナブルなロジスティクスをグローバルで提供している。フォワーダーランキング世界第4位。

物流の知見に幅と深みを
プレッシャーも力に変える

――「物流技術管理士資格認定講座」受講のきっかけは?

受講開始当時は大阪支店関西営業部営業統括グループに所属し、他の拠点と連携して関西広域の営業を担当していました。立ち上げ準備業務に2年ほど携わった物流センターがようやく稼働を開始し、引き続き同センターの安定稼働に向けて取り組んでいた時に、上司から勧められたことが受講のきっかけです。

その際に期待されていたのは、次なる物流センター案件獲得につながる「勘所」をつかめるよう、必要な知識や技法を習得することと、物流センター運営に必要となる、運用以外の経営的な視点や管理手法の習得。また、実体験に基づいた圧倒的な経験値を持つ上司に対し、一般的なセオリーを学んだうえで独自の工夫や応用を加えていく素地を養い、お互いに補完し合いながら仕事を進めていけるようになることも期待されていました。

――実際に受講してみていかがでしたか。

私は現場での経験がなく、物流に関する知識にも偏りがあると感じていました。しかし、先生方が課題解決に必要な知識や技術を余すことなく伝えてくださったので、自身の知見に幅と深みを持たせることができました。また、サプライチェーン全体を俯瞰し、全体最適化をはかることで課題解決を目指すという「ロジスティクス」の視点や考え方を会得できたことは大きな収穫です。

グループ演習も非常に有意義でした。メンバーとともに悩みながら議論を重ね、課題の抽出や改革に向けた解決策の立案に取り組んだことで、達成感を分かち合えたのは非常に嬉しかったです。様々な考え方や視点があることにも気付かされ、とても良い刺激となりましたし、その時に出会った方々と親しくなり、今でも時々連絡を取り合って「いつか一緒に仕事ができたら」と言っています。

――特に印象に残っている講義内容は?

感覚ではなく数字で語る重要性についての講義を通じて、日頃から意識していた「今ある情報で可能な限りロジカルに語る」大切さを再認識できたことは、特に印象に残っています。現状分析のためのワークサンプリングや拠点再編にまつわる分析など、あらゆる場面で定量的な把握は必須です。しかし、実際の業務で様々な分析を行う中で、常に必要なデータが揃うわけではありません。限られた不揃いの情報から、不完全ながらも分析を行い、かろうじて見えてきた要素から仮説を立てて検証していくことが、課題解決に欠かせないという思いを新たにしました。

実は、受講に先立ち上司から「一番を獲ってきて!」と送り出され、少々プレッシャーに感じていました。しかし、そのおかげで力が湧き、やるからには真剣に向き合おうと気合いが入ったのも事実。結果として、本当に最優秀賞に選んでいただきました。拠点の枠を超えて多くの関係者の方々にも知っていただき、皆さんからいまだに「すごいね」と声をかけていただけるのは嬉しいですね。

「今ある情報で可能な限りロジカルに語る」大切さを再認識した日本通運株式会社 新井 沙依子 氏

ミクロとマクロの視点で
眼前の課題を論文へと昇華

――以前に「物流現場改善士資格認定講座」も受講されたそうですね。

当社では多くの社員がJILSの各種講座を受講しています。私が以前に所属していた、分析などの後方支援業務を行う部署でも、「物流現場改善士資格認定講座」と「物流技術管理士資格認定講座」の資格取得が必須となっており、コロナ禍に物流現場改善士を受講しました。

2つの講座を受講して感じたそれぞれの特徴は、物流現場改善士が「現場のムダを減らして作業効率を最大化するスペシャリストを目指す」内容であるのに対して、物流技術管理士は「部分最適な改善にとどまらず、調達から販売、リサイクルまでを含めたサプライチェーン全体のコスト削減や戦略構築を担う人材を目指す」という印象でした。両方を学んだことで、現場に特化した「ミクロ」と全体を見渡す「マクロ」という、異なる2つの視点を手に入れることができたと考えています。

――修了論文は「優秀論文」に選ばれました。

冒頭でもお伝えしたように、7月の受講開始当時は、私が立ち上げに携わった物流センターが4月に稼働を始めたばかりのタイミング。営業担当として安定稼働後の課題整理と改善提案に取り組んでいたことを、そのまま論文にぶつけようという気持ちで「荷主の調達物流清流化(共同配送センター構想)に向けた取り組み」というテーマで書きました。

特に執筆に役立ったのが、第8単元の「在庫管理とSCM」です。荷主や物流現場の数だけ「適正な在庫量」や「在庫の持ち方」があること、それを維持するために発注管理が大事になることなど、上流である調達にまで意識を向ける重要性は、まさに自身が直面している状況に当てはまるものでした。実際にストップウォッチで作業時間を計測するなど、入出庫の実績調査をする中で得た気付きと相まって、ベンダー側の倉庫から物流センターへ直接納入されていた在庫を一旦集約し、清流化・効率化をはかる「共同配送センター構想」というアイデアへと結実していったのです。

修了論文で示した、共同配送センター構想のBefore→Afterフロー
修了論文で示した、共同配送センター構想のBefore→Afterフロー

論文を形にしていく過程で自分の中でも頭の整理ができ、今後の進め方を具体的なロードマップにまで落とし込めたことも非常に嬉しかったですし、まとめた甲斐がありました。元々文章を書くのが好きなうえ、提案内容への思い入れもあり、ボリュームが増えがちなところを社内でもアドバイスを受けながら簡潔に伝えるようブラッシュアップを重ね、荷主様、ベンダー様、当社の三者にとってメリットのある構想になったと自負しています。お客様にも展開したところ高く評価いただき、「タイミングを見計らって形にしていきたい」と言われているので今後が楽しみです。

優秀論文に選ばれた新井氏の修了論文はこちら

――受講を検討している方へアドバイスがあればお聞かせください。

私と同様に物流会社で勤務し、顧客に対してロジスティクス全体をからめた戦略的な提案営業を行いたい方はもちろん、荷主企業で物流に携わり、サプライチェーン全体の最適化の検討や、経営層に対して物流の観点から提言などを行う立場の方にも、うってつけの講座だと思います。

私が日々、様々な荷主企業のお客様と接する中でも、「課題があることは認識しているが、何から進めればよいかわからない」「他部門への働きかけが思うように進まない」「会社の中で横串を刺し、部門を横断した取り組みを推進できる人がいない」などのお悩みを多くお聞きします。物流技術管理士の資格取得は、そうした方々にも適しているのではないでしょうか。

お客様のパートナーとして
「提案力」を磨き続ける

――受講後はどのようなお仕事をされているのでしょうか。

受講後に組織改正があり、現在は関西アカウントセールス部に属しています。特定のお客様にそれぞれ専任の担当者を置き、陸・海・空に関わらず「END TO ENDサービス」をご提供すべく、新たなロジスティクス・ソリューションをご提案する営業スタイルの部署です。私は引き続き、論文のテーマにもさせていただいた荷主企業様に対する営業活動を続けるほか、他の営業メンバーのサポート業務なども行っています。

お客様の物流面におけるパートナーとして活動する中で大切だと感じるのは、課題を広い視野でとらえ、解決への道筋を示す「提案力」。物流プロセス全体を把握し、実態を定量的に分析することで、背景に何があるのか考察し、拠点構造や組織、輸配送や荷役など、各領域において優先順位をつけて改善や改革の方向性を見出す作業が必要です。決して簡単なことではありませんし、エネルギーのいることですが、日々奮闘しています。

「受講で学んだことを活かしながら、日々お客様と向き合っています」と新井氏
「受講で学んだことを活かしながら、日々お客様と向き合っています」と新井氏

――最後に、新井様の今後の目標を教えてください。

これまでは、すでに獲得されている案件の立ち上げ業務を担当することが多かったので、自らの提案によって新たに「獲得する」過程を経験したいというのが今後の大きな目標の一つです。そのためにも、お客様が何を求めているのか、何が刺さるのかを見極める感覚が非常に大事になると考えています。講座での学びが、その感覚を高める大きな一助となったことは間違いありません。

活動の中心にいつもあるのは、部署のモットーでもある「顧客志向」。「お客様のお役に立ちたい」という想いを胸に、まずはお客様を好きになることを大切にしています。そのうえで、講座で得た「技」を机上にとどめず、お客様相手に実践の場で繰り出し、自分の武器として発展させていけたらいいですね。

また、上司から「今後は後輩の育成も」と期待されています。お客様に接しながら、現場の課題の分析や改善策の提案ができるような仲間を増やすためにも、これまでの学びと経験を活かして貢献していきたいです。

※取材は2026年8月28日に行われました。

2026.10.08 物流技術管理士資格認定講座