国際物流の全体像を学び「奥深さ」を実感。サプライチェーンの重要性も認識新たに
当協会の「国際物流管理士資格認定講座」を5年前に受講した株式会社OCSの長田一槻氏に、講座の内容や受講のメリット、その後のキャリアへの活用方法などについてお話を伺いました。
-
株式会社OCS
グローバル本社機能 事業推進チーム 長田 一槻
国際物流管理士資格認定講座
第44期(2021年9月~2022年3月)受講
※所属・役職は取材当時のものです。
株式会社OCS
1957年、海外で暮らす邦人に新聞を届けるサービスを開始。その後、その後、海外出版物の輸出入、そして現在の主要な事業「国際エクスプレス事業」へと発展。2009年には、全日本空輸(ANA)のグループ会社の一員となり、同グループの航空輸送網も活用しながら、「フォワーディング」「ロジスティクス」「EC物流」事業も展開するなど、多様なロジスティクスソリューションを提供する国際物流企業へ歩み出している。
国際物流について幅広く学習。受講者同士の交流もメリット
――「国際物流管理士資格認定講座」受講のきっかけは?
私は当時、オペレーションマネジメントチームに所属しており、集配エリアや委託先、配送車両の安全などの管理、紛失・損傷の低減など荷物の品質管理、コストや予算、KPIの管理など、日本国内のオペレーションにまつわる様々な企画・管理を行っていました。問題が発生した際には各拠点の担当者から状況をヒアリングするなど、日々発生するイレギュラーな出来事に幅広く対応・解決する、いわば「マルチタスクチーム」でもあります。
そうした中で、過去に同講座を受講していた同部署の上司や先輩から「国際物流管理士資格認定講座」を勧められたことがきっかけで、私も受講させていただくことになりました。
――どのような点に魅力を感じて受講を決めたのですか。
国際物流全般についての知識が学べることはもちろんですが、他業種の方や同業他社の方など、社外の研修で様々な受講者の方々と交流が持てる点も、とても魅力的に感じました。
また、受講当時は入社7年目、部署では5年目となり、自社のオペレーションには詳しくなってきたものの、一般的な国際物流のオペレーションについて、さらに体系的な知識を深めたい」という課題意識がありました。他にも、配送ルートのパフォーマンス向上や、荷物の破損率の改善など、オペレーションの課題を解決しようとする際に、自社だけでできる取り組みにはどうしても限界があると感じていました。他社ではどのように解決しているのか、どんなことを実現しているのか、自身の視野を拡げ、様々なことを吸収していきたいと考えていたタイミングでもあり、受講を決めました。

――実際に受講してみていかがでしたか。
「国際物流」はとても奥が深い分野だということを強く感じました。私が普段携わっている航空貨物、特に「エクスプレス」と呼ばれる国際宅配便は、取り扱い重量で海上貨物と比べるとごくわずか。そのような非常に狭い領域で活動していた私にとって、これまで触れることのなかった海上貨物や倉庫に関する単元は興味深く、とても良い経験となりました。とりわけ「海損」など海上輸送における保険の考え方は、同講座を受けるまで想像すらしていなかったので、「こんな世界もあるのか」と新鮮でした。必ずしも今すぐ業務で活用できる知識ばかりというわけではありませんが、国際物流の全体像をとらえるきっかけとなるような、様々な気づきを得られたことは一番の収穫だったと感じています。
また、私は営業経験がほとんどなく、以前は「サプライチェーン」についてそれほど意識していなかったのですが、同講座であらためて学んだことで、オペレーションを構築する上でのサプライチェーンの重要性が知識と結びつき、その価値を再認識できたのも大きな収穫となりました。自社の業務領域でサプライチェーンをどう効率化していけるか、自社にない領域を今後どう強化していくかなど、考えさせられる場面が多くあり、そうした意識は現在の業務にも活かされています。
海外駐在でますます視野が拡大。講座で得た知識がよりリアルに
――特に印象に残っている内容はどのようなことでしょう。
受講後すぐに上海へ3年ほど駐在し、現地スタッフに同行して顧客訪問や問い合わせ対応、日本側との調整など、営業サポートを中心に幅広い業務を担っていました。そうした中で、荷物の発地側と着地側、双方の現場のオペレーションを実際に目にしたことで、講座で学んだことがより具体的に理解できるようになり、国際物流に対する視野が拡がる良い経験となりました。以前は日本から点として見ていたものが、その先のつながりまで想像できるようになったというのでしょうか。アパレルを例にすると、日本から生地を送り、上海で加工して、サンプル品を再び日本へ送り、そこから上海で量産を始めるというように、片道だけの物の移動ではない、サプライチェーン全体のリアルなつながりが意識できるようになったのは、講座での学びがあったからこそです。
また、赴任当初はゼロコロナ政策の真っ只中。海外での生活が人生初だったこともあり、異文化の中で日常を過ごすことの難しさも感じました。第8単元「グローバル企業が直面した課題と解決方法を学ぶ」の「SCMの視点から取り組む海外現地における改善活動」や「海外駐在における駐在員の役割と心得」、海外駐在経験者の方々の生の声など、現地での拠点の立ち上げからスタッフの教育、日常生活の過ごし方に至るまで、受講時に学んだ様々な内容について身をもって体感できたことも大きかったと思います。

上海駐在時の長田氏。現地では「講座で聞いた海外駐在経験者の体験談と同じだな」と思い出すことも多かったそう。
――他に受講して良かったことは?
コロナ禍だったためすべての単元がオンラインで行われましたが、受講前から魅力と感じていたように、グループ討議などを通じて他の受講生の皆さんと交流し、様々な刺激を受けたことは本当に良い経験となりました。当社のような物流会社の方はもちろん、食品や家電、小売など多様な荷主企業の方、メーカーの物流子会社の方など様々な業種の方が受講されていて、異なる視点からの意見に触れることで、物流について考える良いきっかけになったと考えています。
受講後に、有志での懇親会にお誘いいただいたことは何度かあったのですが、私が受講後すぐ海外赴任となってしまったので、残念ながら皆さんと直接お会いする機会がありませんでした。ぜひお会いして、また様々なお話をお聞きしたいと思っています。
半年間に及ぶ学習は貴重な機会。学びを活かしてキャリアアップ
――現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
昨年4月に駐在から戻り、「グローバル本社機能」という部署へ配属となりました。国内はもちろん、現地法人や合弁会社、代理店などを合わせて130以上ある海外拠点との調整や管理、グローバルマーケティング、海外ネットワークの整備・拡充などを担当しています。
受講前は国内全体の現場のオペレーションを管理するという役割でしたが、現在の部署へ来て、それが全世界へ一気に拡がった印象で、業務の幅がより広くなりました。貨物量の把握や営業活動の傾向分析など、カバーする範囲もかなり拡大しており、例えば「アメリカ~インド間で荷物を運びたい」というご要望に対し、どのフライトを使って実現するかというようなソリューション提案で発着拠点をサポートしています。
――受講を検討している方へアドバイスがあればお聞かせください。
半年間、計19日にも及ぶ研修は、社会人になってからあまり経験することのない、貴重な機会です。業務と並行しての学習には不安もあるでしょうが、ここで得た知識や気づき、受講者の皆さんとの交流は、その後の実務や人生において大きな好影響をもたらしてくれるはずです。じつは私も、受講期間と自社の繁忙期が重なることは事前にわかっており、少々不安に思っていました。来期の予算や次年度の活動方針を検討するかたわら、オンライン講義に出席して、その後にレポート作成する時間を捻出するのは大変でしたが、それらを乗り越えたことも含めて良い思い出になっています。国際物流を広くカバーする内容は、営業職などフロントラインの方だけでなく、企画部門の方にとっても視野を拡げる機会になると思います。当社でも、私の後に複数の部門から計3名が受講しており、様々な気づきを得ているようです。私も、今でもときどき、当時のテキストを読み返しては、講義内容を再確認したり、講師の方のお話を思い出したりしています。学んだ知識を受講後にも活かせるという意味では、長期的に役立つ講座ともいえるのではないでしょうか。

――最後に、長田様が考える「国際物流業務の魅力」をお聞かせください。
受講当時はコロナ禍で、世の中の「人の動き」は完全に止まったものの、むしろ「荷物の動き」は増える一方でした。当社でも臨機応変な対応が求められ大変な時期ではありましたが、ANAグループ全体で「貨物を止めるな!」を合言葉にフライトの欠航による発送ルートの変更対応などを行っていたのを記憶しています。当時、一番驚いたのは、個人宛の荷物として海外からマスクやトイレットペーパーが輸入されてきたこと。これを目にしたときに「物流は、人々の生活を支えるインフラなのだ」ということを、身をもって実感しました。
今後も、社会の一翼を担うべく、「国際物流管理士資格認定講座」で得た学びを活かして国際物流の最前線で活躍していきたいと考えています。
※取材は2026年3月6日に行われました。