JILSでは東京オリンピック・パラリンピック競技大会をロジスティクス、物流の視点から側面支援し、現時点で想定しうる問題点・課題を関係者で共有するため、7月4日に、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた物流課題の確認」と題した研究会を開催いたしました。
この研究会にあわせ、アンケート調査「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた物流課題」(以降、アンケート調査)を実施、その集計結果をとりまとめましたので、以下のとおりご報告いたします。
≪調査結果の概要≫
本アンケート調査の実施時点では、大会の交通対策に関連する物流課題の把握状況は高い
とは言えないものでしたが、アンケート回答締切直後の7月24、26日および8月25日の交通
対策テスト等もあり、把握状況は日々高まっているものと推察されます。
大会期間中の物流対策について、全体では「社内で検討中」が42%、「検討していない」
が36%、業種別でみると「社内で検討中」が、総合物流業では60%を超える反面、製造業・
小売業では40%に満たない状況となっています。製造業への個別ヒアリングでも、経営層・
他部門の理解が進まない、との声が複数ありました。そのような方々が、取り組みを始めている企業の事例をもって、社内の経営層・関係各部署に対して早期の対策検討の必要性を説いている例も多数聞いています。
なお、社内の理解が得ることが難しい際は、2020TDM推進プロジェクトへの登録を提案して
みるのも一案と思います。
※2020TDM推進プロジェクト
https://2020tdm.tokyo/
必要とされる物流対策について、製造業は「大会期間中を避けた配送の計画」が59%、次い
で「混雑予想地域の配送回避・迂回」が54%、卸売業も「混雑予想地域の配送回避・迂回」
が55%、次いで「納品時間の変更」、小売業は「納品時間の変更」が58%、次いで「納品頻
度の変更」が52%となりました。
現在、国内人口減少等に伴う労働力不足により、トラックドライバーをはじめ、庫内作業
者の不足により、従来の多頻度小口等の物流サービスを維持していくことが困難な状況と
なっており、大会期間中は更に逼迫した状況になることが予想されます。
また、今年のゴールデンウィークの状況では、在庫積み増し等による影響で商品・製品の
在庫・保管スペースおよびパレットが不足するという事態が一部で起きており、早期に関
係者の間で情報を共有したうえで計画を立て、実証することが求められます。
他、アンケート調査結果は、以下のPDFをダウンロードのうえ、ご確認ください。
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた物流課題」アンケート調査結果